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『ファッションデザイナーが集う、プルミエール・ビジョンNY』ニューヨーク・ニューヨークVOL.55

こんにちは、マディソンです。 今回は1月15日と16日にマンハッタンで開催されていたプルミエール・ビジョンNYに参加してきました。

近年人口素材が格段に発達してきていて、例えばナイキなどはスポーツシューズのデザインにそれを上手く生かして、スニーカーの平均価格を50㌦から200㌦に引き上げることに成功したと思います。2月のニューヨーク・ファッション・ウィークを来月に控えて、今どんな布素材やアクセサリーが出てきているのか、興味津々で初めて見に行ってきました。

ソーホー地区でのミーティングから最寄りの地下鉄駅にむかうところで、クレイト&バーレルのショップの前を横切りました。すると“カム・トギャザー”というタイトルとビートルズの写真が入口横に張られていました。

1969年に解散したビートルズの、まだグループとして一緒だった時代の貴重な写真とのコラボレーションをしていて、その時代の白黒写真にちなんで、白と黒の色彩の、シンプルなコレクションを発表しているようです。

最近、調査会社の統計でファッションやライフスタイルブランドの30%以上がコラボレーションをしてきているという結果がでましたが、クレイトン&バーレルもそのようです。少し前までアメリカでは、しゃれた室内装飾品はクレイトン&バーレル、ピア1、あるいはイケアで購入というのが一般的だったんですが、近年オンラインでのライフスタイル・ブランドが次々出てきているので、クレイトン&バーレルでも、プロモーションを盛んに行っていかなくてはならなくなったようですね。

新しい地下鉄の駅、文字フォントがすっきりしていて、素敵です。

着きました。マンハッタン西側、ハドソン川沿いにあるピア94が会場です。ここはミッドタウンですが、ピアのダウンタウンの方は近年よくファッション・ウィークのショー会場になっているので、よく来ています。遠いんですが、ポスターの真ん中の、黒いトランスフォーマーのような物体は、どうやら黒いゴミ袋でできているようです。リサイクルと関係がありそうですね。

運営責任者で、プルミエール・ビジョンNY責任者の、チアリ―・ラングレさんに会場を案内してもらいました。
何でも、今回のニューヨーク展示会ではアメリカのブランドのトームがブランド・アンバサダーに指定されているということでした。トームのサイトでは、実際のカメラマンだったり、ティーン・ヴォーグの編集者がトームの服を着て紹介されています。ファッショナブルでありながら、地に足の着いた女性をイメージして作られたブランドのようです。



表のポスターもそうでしたが、中のオブジェもアーティステイックで大胆です。ピンクの巨大風船がオブジェとして飾られていますね。
先述のチアリ―さんによると、プルミエール・ビジョン自体はパリで50年ほど前にスタートしているため、パリが規模はもちろん一番大きくて展示ブースは2100もあるため、2日間で世界中から5万5千人程度が集まるそうです。

ここニューヨークも開催開始からやがて20年近くになるそうですが、パリほどの規模ではありません。四半期ごとに委員会が布のデザインや質、それにクリエィティブであるかどうかなど、厳正な審査を重ねたうえでしか展示ブースとして入れない仕組みになっているので、年月を重ねて行かないと会自体の規模も急には大きくならないようです。

こうやって、間接的にファツション業界の質を保つ努力をされているんですね。



デザイナーたちが、素材選びに忙しそうです。
私は気づきませんでしたが、著名デザイナーも多々訪れている模様です。チアリ―さんは、パリのプルミエール・ビジョンで、マーク・ジェイコブズやカニエ・ウエストに会ったと言われていました。

会場の一角ではスマート・セミナーが開催されていました。
2015年の秋から始まったこのセミナーでは、クリエィティブで、機能的で、しかも継続可能なデザインを作り続けるための教育が行われているんだそうです。
デザイン業界に携わる人たちが、早い時代のスピードに遅れることなく成長していかれるように、ファッションデザイン業界自体が取り組んでいるということのようです。

近年、イスタンブールでも開催されるようになったので、トルコのブースもありました。日本では10年ほど前には開催されていたようなのですが、残念ながら今は行っていないようです。チアリ―さんは、日本には単価は高いけれども素晴らしい布素材がああるので、本当に残念だと言われていました。
私が会場を訪ねた翌週にジェトロのパーティに参加するので、関係者にもっと押しておくよ(笑)と言われてましたが…。

さすがパリ発祥の展示会。会場にはお昼でも、ワインもシャンペンも用意されていました。
近年世界中のファッション・ウィークで、新作発表から半年後の販売の問題点を指摘する声が上がっています。ニューヨーク・ファッション・ウィークの母体であるCFDAも一昨年、ダイアン・フォン・ファステンバーグを中心に、この問題の徹底調査に乗り出しました。

H&MやZARAをはじめとするファスト・ファッション・ブランドが、ショー直後にショーのテイストを取り入れた製品を大量販売することで、デザイナーたちがデパートや自身の小売ブテイックに販売する半年後にはその傾向が飽きられているという事実があり、インスタグラムをはじめとするソーシャル・ネットワークの発達で、デザインがあっという間に世界中に拡散され、それを見た消費者は半年後ではなく、今買いたいと思ってしまうという需要の問題もあります。

調査の結果、アメリカの著名デザイナーの何人かは、ファッション・ウィークを去ってしまいましたが、パリは断固として半年先を守ると宣言しました。
こうして素材の展示会を訪れてみると、パリのファッション業界が、如何に素材から丁寧に厳選してデザインに向き合っているかがわかります。何もかも早いペースになってきていますが、そんな中でも変わらないでいることが、本当の価値を守るのかもしれません。

さて、如何でしたか。ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

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