ニューヨークから、マディソンです。
今日6月30日はニューヨーク、とても混雑しています。というのも、あちこちでプライド・パレードのための道路封鎖があるからなんです。
サラダボウルと呼ばれているくらい、ニューヨークにはさまざまな人種の人たちが住んでいて、その人たちが自身のエスニックへの誇りを掲げてのパレードがとても多いんですが、このプライド・パレードというのは人種ではなくLGBTQの人たちのパレードなんですね。
高級デパート”サクス・フィフス・アベニュー“にディスプレイされている、このストーンウォール事件というのがパレードの発端となりました。
50年代60年代には、アメリカの49州でゲイが違法だったんだそうです。ということはゲイであることで罰金が科せられたり収監されることもあったんですね。
ストーンウオールという、マンハッタンのダウンタウンにあったこのバーはそんな中、ゲイの人たちが自分たちの自由を満喫し、パートナーを探せる、唯一の場所だったと言っても過言ではありませんでした。
ストーンウオールは当時マフィアが運営しているバーで、それでも時々は警察の手入れにあったそうです。男性がスカートをはいて女性らしい服装をしているだけで警察に連れていかれたというのですから、今から考えると隔世の感がありますね。
1969年6月28日のこと。9人の警察官がこのバーに突入して、バーテンダーとゲイのお客さん達を捕まえようとしたところ、中のお客だけでなく、外の何百人という人々が攻勢して暴動に発展しました。この暴動は7月1日まで続き、何千人というニューヨーカーを巻き込んで膨れ上がったそうです。
この暴動から1年後の1970年に、初めてゲイの権利をうたうパレードが行われ、その後このパレードはゲイだけでなくレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーにクエスチョンやクイアーを(その頭文字がLGBTQ)をあわせた人たち全ての権利をうたうパレードへと進化しました。
斜め前のセフォラでもプライド・パレードに向けたメッセージがディスプレイされています。
“セフォラは美しいものの見方です。美はすべての中にあり、様々に異なるものの中にあります。異なる人々でコミュニティは作られ、様々な表現があることこそが素晴らしいのです”といった内容になっています。
プライド・パレードの前後の期間、ニューヨークの街はこうした、差別に断固反対しようというムードで盛り上がります。
ふと振り返ると、サクスフィフス・アベニュー向かいのロックフェラセンターに、巨大な像が見えました。
ジョーム・ペンサによる“Behind the Wall-壁の後ろ”という題名の彫刻だそうです。とても迫力があります。
ただこれは直接プライド・パレードとは関係がなく、ただ今ロックフェラ―センターで開かれているパブリック・アートの一つだそうです。作者のペンサはこの彫刻に寄せて “時には自分たちの手が一番の壁になることがある。自分たちの周りで起こっていることが見えなくなってしまうからだ。”と言っています。彼は、美しくメッセージ性ある彫刻を作ることを目的としているだけだといいますが、このパレードの間にニューヨークの街中に溢れている“差別をなくして違いを尊重しよう”というメッセージの大切さと深く繋がっている感じがします。
60年代の警察や人々は違法だからという理由でゲイ差別をしていたけれど、サクスのディスプレイやビートルズの歌にもあるように“私たちが必要な唯一のものが愛”だとするなら、その本質に目をつぶってゲイの人たちを裁いていたことが間違いだったと気づきますよね。
さて、混雑しましたが何とかダウンタウンにたどり着きました。
リアーナのポップアップでご紹介したウエブスターの、4階の男性フロアーがとても素敵なので、丁度ダウンタウンに向かいますから、時間を見つけて立ち寄ることにしました。
エレベーターを降りると、まずはスニーカー。現代の靴はスニーカーといわれているくらい、スニーカー市場は広がっています。
職場のドレスダウン化、カジュアル化が進んで、ルルレモンに代表されるアスレジャーがそのまま通勤着になってもきているなか、革靴を持っていない人は増えていますが、高額スニーカーは誰でも2~3足は持っていますね。
ですので、今ではハイブランドでも必ずスニーカーを製造しています。
バレンシアガも、もちろんディオールも。ディオールのスニーカーのロゴ、ドレスと違ってスポーティーに強調されていますね。
フロアーの中央には、このコブシの彫刻とカウチ。アート性が強いです。
デパート不振の最大の要因は、人々に飽きられてしまったことだと言われています。好調な小売店はマンハッタンの場合ショールーム化していて、ここも女性用フロアーと同じで、やはり一点一点バイア―さんがセレクトして集めたモノばかり並んでいるんですね。
訪れた人たちはそのバイア―さんが描くウエブスター・メンズの世界に浸れます。この服にはこのスニーカー、そしてバッグパックと自分のスタイルを膨らませ易いんですね。
このヴァレンティノの上下、とっても素敵なんですが、これはやはりリゾートウエアでしょうか。
着こなしはとても難しい感じはしますが、でもこの後行くダウンタウンのバースデー・パーティなら、リゾートではないにしろマッチしそうです。
知人のバースデーパーティが、ダウンタウンのホテルの最上階のプールで行われていました。
プール横はバーになっていてDJもいます。このDJさん、お友達のご主人なんですが、流石プライド・パレードに合わせて、マドンナやシンディ・ローパーなどゲイの人たちには大人気アーティストの曲を次々かけてくれました。みんなノリノリで踊っていますが、ふと外を見るとかなりの高さです。高所が怖い人はフェンスに近づかず、プール内にいた方がいいようですね。
さて、如何でしたか。また次回もニューヨークでお会いしましょうね。