今日は、マディソンです。
まだまだ寒いですね。それにコロナ肺炎のニュースが飛び交っています。マンハッタンの地下鉄で、マスクをしたアジア人女性が襲われるという事件がありました。アジアでは予防でマスクをみなしているんですが、アメリカでマスクをしていると既に病気にかかっている人、というイメージがあって、病気なのに地下鉄に乗ってくるなんてという怒りをかったようです。
そんな認識の違い、ニューヨークに来られる折には是非気を付けてくださいね。
今日のミーティングはミッドタウンから。
ニューヨーク公共図書館の近くです。1911年に施工されたんですが、観光スポットでもあり、しかも入場は無料とあって、年間の利用者数は180万人もあるそうです。蔵書も5200万冊もあるそうですよ。ここに写っている2体のライオンの像はニューヨーカーに親しまれていて、ニューヨークの野球チームの帽子かぶっていることもあります。マンハッタンが舞台の映画にも数多く出演しているので、目にした方もあるかもしれませんね。
中に入ると、図書館内部はまるでハリー・ポッターの映画に出てくるかのような荘厳なムードで、しかもカフェやギフトショップもあってゆっくり楽しめます。ギフトのセンスも抜群なんですよ。
図書館横はこんな感じです。
後ろはブライアントパークに隣接していて、以前ニューヨーク・コレクションはここにテントを張って行われていました。今では夏の温かい間は特設ステージでお芝居が開かれていたり、美味しいパンやケーキのショップがあったりするので、ゆったりコーヒーを楽しみながら新聞を読んでくつろいでいる人たちが目立ちます。
日本と違って、アメリカでは出先で気軽に入れるきれいな公共トイレは少ないんですが、このブライアントパークのトイレは近年数千万円をかけて改装、とてもきれいなのでお勧めです。
ブライアントパークはゴミ箱もチューリップのように可愛いですね。
真ん中遠くに見えるのがクライスラービル。今年のアカデミー賞ではホアキン・フェニックスが“ジョーカー”で主演男優賞に輝きましたが、このクライスラービルを見るたびに、バットマンの舞台、ゴッサムシティを想い出します。
アールデコ調のクライスラービルは77階建てで、エンパイアステイトビルが建つまではマンハッタン最高の高さを誇っていたそうです。1930年代から1950年代まではクライスラー社の本社ビルだったそうですが、現在はオフィスビルとして他の企業が入っています。エンパイアステイトのように展望台はないのですが、一階ロビーだけは入れると聞きました。
次のミーティングがチェルシー地区だったので、ブライアントパークからハドソンヤードへと西に向かって、そのまま南に降りてきています。
ハドソンヤードの辺りもそうですが、西側はただ今総じて建設ラッシュです。この建物、名前がランタンハウスと明示してありました。よく見ると窓の形がランタン、つまり提灯型なんですね。さっきのクライスラービルほどのスケールではありませんが、マンハッタンには、様々な美意識を披露したい建築家がたくさんいて、面白い建物やショップに事欠きません。
知らず知らず、かなり遠くまで歩けてしまうのが良いところですね。最も特に西と東を移動するクロスタウンの交通渋滞はひどいので、歩かざるをえなくなるということもあるんですが。
本日予定されていたミーティングがようやく終わったので、怖いもの見たさでバーニーズにやって来ました。
ミッドタウン・フラグのこのデパートに何度胸をときめかせて通ったことでしょう。他のデパートとは一味違う、その革新的なスタイル、店内の品々がキラキラ輝いて見えたものです。
破産してしまったという衝撃的なニュースは世界中を駆け巡ったので、日本の皆さんもご存知だと思いますが、今でもGoogleの1億円近い広告費はじめ、雇用者組合など、様々な負債問題が山積みです。
店内に入ると一階は男性用服の一掃セール。この売り尽くし風景は、他の普通の店舗では見たことがありますが、さすがにバーニーズとは信じがたい光景です。ベルサーチの、定価1325㌦のバックが半額の662㌦50㌣。バーニーズという世界がまずあって、それでブランド価格だったことを思うと、魔法が解けたバックにたとえ半額でも払う人がいるんでしょうか…。
想像はしていたものの、ショックでした。
去年8月に経営破綻したニュースが流れて以来、11月にABG(オーセンティック・ブランド・グループ)の買収が決まるまで、規模は小さくなってもフラグだけは残してくれるだろう、そんな淡い期待を、私も含めて街のみんなが持っていたことは確かです。
確かに、ここ数年の5番街のロード&テイラーやヘンリ・ベンデルのフラグ閉店から、ハイブランドの勢いが下がってきていること、一方アスレジャーを掲げて全米に広がるルル・レモンの5番街フラグ出店からも、人々の興味が徐々にカジュアルに移行していることは感じられていました。ただ、カジュアルやストリート系ブランドが安価かというと決してそうではないので、バーニーズのように高額だけれどエッジの効いたファッションは、まだまだ支持されていると私たちは皆思い込んでいたんですね。
バーニーズ近くには、マーク・ジェイコブズのマディソン街店があります。
マーク・ジェイコブズは、そういえば2018年の2月に亡くなってしまったジュディ・ブレイムとコラボしていましたね。イギリスのスタイリストでアート・ディレクター、宝石デザイナーでもあったジュデイは、パンク・ファッション界のスターでした。安全ピンやチェーンなどで退廃的な世界を表現してきた彼は、まだ58歳という若さで逝ってしまいましたが、彼的世界は今も力強く、ファッション界のクリエイティブ・ディレクターたちに継がれています。
ストリート系のスプリームとコラボしたルイ・ヴィトンもそうですが、常に新しい息吹を作っていくことが大切なんだと思います。メーガン妃とヘンリー王子の王家離脱がスキャンダル視されていますが、離脱をもいとわない新しい血が、究極のブランドたる王家にそれでも必要だとみるのは皮肉な見方でしょうか。
バーニーズに立ち寄った後、本日最後の仕事のラジオ収録のために、友人宅にきています。
全米をカバーしているラジオ局で、この友人とアメリカや日本で起こっている出来事について、毎週20分間のラジオ番組のパーソナリティを務めているんです。
5番街に面している、彼女のリビングルームからのビューです。エンパイアステイトがこんなに間近に見えるんです。まるでニューヨークの葉書になるようなビューなんですが、実際のものです。
日本からいらした彼女のお客さまが、ピアノがお得意とのことで、仲のいいお友達を招いてプライベート・コンサートを開いてくれたんです。さすがニューヨーク、ジャズが得意で歌える女性もいて、ピアノの伴奏で歌ってくれました。
もっと驚いたのが、みんながビートルズのイマジンを歌えたことです。確かに、ジョン・レノンが亡くなった後も、オノ・ヨーコさんはマンハッタン・ウエストサイドのダコダ・ハウスの住人ですから、ニューヨークゆかりのアーティストではありますが…。
友人の愛犬、ムギちゃんも興味津々のようです。
如何でしたか。最後は友人宅のプライベート・コンサートで終った一日でした。音楽と歌で、かなりバーニーズ・ショックが和らぎました。クラシック音楽は長い間残っています。ジャズも比較すると、デパートやファッションの流行よりも、ずっと長い期間、私たちのそばにありますね。
形あるものの方が、失われやすいということなんでしょうか。それでもファッションは私たちの意識を高揚させてくれますし、うつろってしまうからこそその瞬間が大切ということもあるのだと強く感じました。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。