今日は、マディソンです。
マンハッタンに遂に外出禁止要請が出ました。コロナ・ヴィールスによる医療崩壊を防ぐため、病気で医院を訪ねたり、食料品をはじめとする日用品を買いに出たりする以外は自宅に謹慎してほしいということになっています。
いつもは賑わっているフラットアイアンの辺りも人影はまばら。外は換気は良いはずですが、人との間を6フィート開けるようにと感染専門家が提唱しています。1フィートが30センチくらいなので、接触による感染を防ぐには180センチ強開けなくてはならないんですね。
挨拶も、頬へのキスやハグはもちろんNGです。その点お辞儀はいいかもしれませんが、ただ180センチ離れてお辞儀しているのは、少し不思議に映りますよね。
こちらはミートパッキング地区にあるエルメスなんですが、さてエルメス、今回コロナヴィールスを吹き飛ばすかのような、期待通りの新製品発表をしてくれました。
Hermes Beauty SS20 Violet Insense 94 Satine Objet(写真:Hermes)
Hermes Beauty SS20 Violet Insense 94 Satine Bullet White Background (写真:Hermes)
“口紅のバーキン”と今巷で大いに話題になっています。エルメス・ビューティから口紅ラインの登場。ビューティから最初に登場したのはマットとサテン合わせて24色。24色というのは、パリのフォーブル・サントノーレ地区にあるエルメス店の番地にちなんでだそうです。
写真は2020年春夏期間限定のポップなマルチカラーの台に乗った3色の一つ、サテンのヴァイオレット色。深く、欄の花のようなゴージャスな紫色です。
エルメス社のPR担当者によると、今回よりすぐられた24色は、同社にある75000色以上のシルクの色見本を基に慎重に開発されたとのことでした。
Hermes Beauty SS20 Corail Fou 51 Satine Bullet White Background(写真:Hermes)
期間限定色の一つ、やはりサテンのタンジェリン・オレンジのこのリップを何とか手に入れたいと、発売と同時にオンラインで探しましたが、残念!あっという間にすべて売り切れているんです。コロナヴィールスが世界的に広がりを見せる中、とはいえオンラインショッピングは健在というか、より活発になっている感じがします。
アマゾンサイトでは、除菌ジェル、普段は3㌦99㌣のものが2ヶ80㌦で売られていたりしますし、空気清浄機なども科学的根拠がないままに爆売れしていると聞きました。
Hermes Ex-Libris(写真:Hermes)
エルメスといえば、1837年にティエリ・エルメスが、馬のハーネスをデザインし作成、馬具工房としてスタートしましたね。ナポレオン3世などに愛用されて発展しましたが、3代目のエミールの時に、自動車産業の発展とともに馬車文化の衰退を予見して、鞄や財布などの革製品を製造、スカーフや香水などの製品の多角化に成功しています。
スカーフと並んで、エルメス製品の中でも一番世界でそのブランド名を不動のものにしたのが全世界の女性の憧れのバッグ“ケリー”と“バーキン”ですが、この両バッグのどちらが好きか論争は何時までも続いていますね。ケリーバッグは、アメリカの女優から後にモナコ王妃となったグレース・ケリーが愛用したバッグで、モナコ公国の許可のもと名付けられたものです。一方のバーキンは、エルメス会長5代目のジャン・ルイ・デュマが、飛行機で隣り合わせた歌手ジェーン・バーキンにプレゼントしたバッグのことなんですね。そして、今回エルメスが発表したこのシリーズ、その高品質と格調高いイメージから“口紅のバーキン”と呼ばれているんです。
Hermes Beauty Universal Lip Pencil(写真:Hermes)
こちらがリップペンシルなんですが、何というか…ため息が出ますね。口紅のバーキンの開発者は、エルメスが発表する女性用製品にはすべて関わっている副アーティステイック・ディレクターのバリ・バレー、1998年にエルメスの靴デザイナーに就任して以来、革靴のデザインはもちろん斬新なスニーカーのデザインも次々発表してきているピェール・アーディ、それにこれまではシャネルやディオールなどのメークアップ製品の開発にかかわってきたジェーロム・トーロンの3人だそうです。リップペンシル、確かに少しだけシャネルのメークアップ製品と、格調の高さで似ている感じもありますね。
Hermes Beauty Lip Care Balm(写真:Hermes)
オンラインであちこち探したところ、このリップクリームだけ、高級デパート“サクスフィフスアベニュー”のサイトで1点残っていて、残っているはずなのに、お届けが5月18日?という謎のような表記がされていました。
バリ、ピェール、ジェロームの3人が中心となりましたが、エルメスが美容製品を発表するなら、開発ばかりでなく、どの製造の過程においても厳密な品質管理を行って、色の広がり方や透明性や輝きを細かくチェックしたそうです。あらゆる点でエルメスらしさを追求した点においては、革などのバッグ製品をデザインし製造することと何ら変わりないと3人は言っていました。
Hermes Beauty Poppy Lip Shine(写真:Hermes)
こちらは、真珠パウダー配合のリップ・シャインで、真珠のように上品な輝きをもたらしてくれるそうです。口紅の上からではなく、直接唇に塗ると自然でほのかな色あいのリップに仕上げてくれるとのこと。
このオレンジカラー、エルメスの箱のブランドカラーを思わせてくれますね。環境保護の観点からサスティナブルであることも重要視されていて、箱はリサイクル紙を使い、リップも詰め替え用になっています。口紅は定価が67㌦(約7,437円、1㌦111円)なんですが、詰め替え用色は42㌦(約4,662円)なんです。
口紅のバーキンとはいえ、口紅自体は価格的には誰でも手が届きそうですが、そのケースとなると話は別。ポップアップケースは1,925㌦(21万3,675円)ということで、口紅サイズの革のケースに20万以上というのは難しいかも…。
コロナで必要のない外出は控えるようにという要請がニューヨーク市から出ているので、お店も開店休業のような感じです。アップルやナイキは世界中でしばらく閉店を宣言しているなか、ここソーホーのキースは普段ならたくさんの人であふれているんですが、今日はひっそりしています。
さて、如何でしたか。
体験したことのない感染病のパンデミックのさなかでは、さすがにマンハッタンも静かで、いつもの勢いが感じられません。普段あんなに人々のエネルギーであふれている街でも、その人々無しには、まるで仮想の街のようです。
早くこんな状況が収束して、また街が勢いを取り戻しますように。それまでは、オンラインでショッピングですね。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょう。