長年シャネルのクリエイティブ・ディレクターを務めてきたカール・ラガーフェルドが2019年2月、惜しまれつつもこの世を去りました。その後任として白羽の矢が立ったのがヴィルジニー・ヴィアールです。今回は、ヴィルジニー・ヴィアールの人物像やシャネルに起こった変化についてご紹介していきます。
2019年2月19日、世界に大きな衝撃を与えたカール・ラガーフェルドの訃報。カール・ラガーフェルドといえば、Chloe(クロエ)やFENDI(フェンディ)といった名だたるブランドのデザイナーを務め、1983年にCHANEL(シャネル)のデザイナーへ就任。そして、亡くなる数日前までシャネルのクリエイティブ・ディレクターとしてブランドを導いてきたシャネルにとって唯一無二の存在です。
“モード界の皇帝”や“ファッション界の皇帝”など、皇帝の異名をほしいままにしてきたカール・ラガーフェルド。 ガブリエル(ココ)・シャネルの意志を取り入れながらシャネルの新たな1ページを作り続けてきたカール・ラガーフェルドは、生前このように語っています。
「『彼女がやったこと』ではなく『彼女がやったであろうこと』をするのが私の仕事」
創業から続くシャネルらしさを保ちつつ、今もなお飽きられることなく世界中の人々に愛されるシャネルの姿があるのは、カール・ラガーフェルドの想像力やクリエイティビティのおかげといっても過言ではありません。
そんな“皇帝”カール・ラガーフェルドの意志を継ぐ後任として抜擢されたのが、ヴィルジニー・ヴィアールです。1962年、フランスのリヨンで生まれた彼女は、地元の学校で舞台美術などを学んだ後、衣装デザイナーのドミニク・ボルグのアシスタントとしてそのキャリアをスタートさせました。
1987年にシャネルへインターンとして加わると、ラガーフェルドと仕事を共にし、ラガーフェルドがクロエへのデザイナーへ就任すると、後を追うようにクロエへ移ってキャリアを積みます。その後、2000年にラガーフェルドと共にシャネルへ戻るとオートクチュール、ウェア、アクセサリー部門の統括を任されることに。ラガーフェルドからは「私の右腕であり、左腕でもある」といわしめるほどの強い信頼関係を築きました。
シャネルのファッション部門プレジデントであるブルーノ・パブロフスキーは、「カール・ラガーフェルドとガブリエル・シャネルの残した遺産を受け継いでくれるだろう」と語っており、彼女への期待を表しています。
今も輝きを失うことなくブランドの最前線を駆け抜けるシャネルの姿を見れば、彼女はその期待に見事に応えているといえるでしょう。
ヴィルジニー・ヴィアールがシャネルのクリエイティブ・ディレクターに就任し、約1年が経ちました。ここでは、この1年でシャネルに起こったトピックについてご紹介していきます。
◎カール・ラガーフェルドが関わった最後のコレクション発表
2019年3月、カール・ラガーフェルドが関わった最後のコレクション発表が行われました。会場には静かな山間部の街並みが用意され、本物とも間違えるような雪が積もり粉雪の舞う演出。1分間の黙とうの後華やかなショーが始まり、最後はシャネルの仕事を打診された際のエピソードを語るカール・ラガーフェルドの声が流れるなど美しい弔いのショーとなりました。
◎ファレル・ウィリアムスとのカプセルコレクション発売
ファレル・ウィリアムスとシャネルといえば、2017年にシャネルとのコラボレーションしたスニーカーを発売し大きな話題を呼んだことで有名です。その第二弾ともいえるカプセルコレクションが発売され再び多くの注目を集めました。
◎パイナップルの葉から作られる素材を使った帽子を発売
パイナップルの葉の繊維を使い作られる「ピニャテックス」は、レザーに似た質感を持つ素材。以前からサステイナビリティーや動物愛護を推し進めていたシャネルは、このピニャテックスを使った“レザー”帽を発売し話題となりました。
◎気候変動対策に本腰
2020年3月、シャネルは気候変動対策に関する取り組み「シャネル ミッション 1.5」を立ち上げました。二酸化炭素の排出量削減や100%再生可能エネルギーへの切り替えをはじめとした4つの柱を掲げており、今後の活動に注目が集まっています。
今もファッション界の一線を走り続けるシャネル。Cを背中合わせに交差させた「ココマーク」や、レザー地にひし形状の裁縫を施した「マトラッセ」のデザインは、ココ・シャネルからカール・ラガーフェルド、そしてヴィルジニー・ヴィアールに引き継がれた、シャネルの「伝統」ともいえます。
シャネルのバッグ、財布、時計などのアクセサリーはどれも魅力的なものばかり。シルエットやカラーのバリエーションも豊富なので、ぜひチェックしてみてくださいね。
カール・ラガーフェルドの後任にヴィルジニー・ヴィアールが就任して早1年。今もなおトレンドを牽引するシャネルの動きから目が離せません。これからリリースされるアイテムはもちろん、今後のシャネルの動きにも注目ですね!