今日は、マディソンです。
7月に比べて、少しづつマンハッタンの街、復活してきています。5番街のハイブランド・ショップにも活気が見えてきました。
写真はルイビトンのディスプレイですが、ゴージャスな金色のスカーフ、背景の動画で映えていますね。
通りを隔てた場所からも、この金色は映えますね。特に背景の動画が変わると、黒に金で。
ルイビトンのウィメンズ・アーティステイック・ディレクターは、2013年から二コラ・ジェスキールが努めていますが、彼が一躍ファッション業界で注目を浴びだしたのは、1997年にバレンシアガのクリエィティブ・ディレクターに就任してからでした。
彼独特のスタイルがパリジャンシックと呼ばれ、人々はバレンシアガに殺到したんです。
コロナ下にあって、来年春に向けてビトンのコレクション発表にあたりインタビューに答えている彼の言葉が印象的で、 “今必要なのは過度なラグジュアリーではありません。私のヴィジョンとしては、ファッションにかかわらず、未来へのメッセージを伝えていきたい。これまでの数年間、私は個人的にもジェンダーレスなスタイルに強い関心を持ってきました。ファッションにとって、中間域の人々が大切だと思うんです。それはグレーゾーンというよりはレインボーゾーン。若手デザイナーが取り組んできたコンセプトなので、決して新しくはないんですが、ルイビトンのようなハイブランドが取り組むことには深い意義があると考えています”と
背景の動画が赤とピンクに変わっただけで、一挙に暖かい印象が生まれますね。
ユーチューブ全盛期の今、ウィンドーデコレーションもこれまでのような静止画だけではなく、刻々と動くことの効果を取り入れているようです。
5番街の中心地で、ルイビトンは新しいクリエィティブを取り入れることで新陳代謝を繰り返しながら、ブランドとしての健在さをいつも感じさせてくれていますね。
今日のミーティングはプラザホテルなんですが、プラザ、実はホテルとしてはまだ開いていません。
今年いっぱいは閉鎖だと言われています。
プラザはトランプ大統領が一時期オーナーだったことがありました。1988年に子供のころから憧れていたプラザホテルを、当時の価値で390ミリオンダラー(約409億円、1㌦105円)で買収し、奥さんのイヴァナ夫人を運営責任者に据えていたと記憶しています。
そうそう、イヴァナ夫人と別れ、再婚したマーラ・メイプルさんとの結婚式を、このホテルで上げましたね。
1995年に手放す折、新聞はトランプ氏の不動産会社が83ミリオン(87億円)のロスを出したと報道しましたが、シンガポールのディベロッパーであるCDLとサウジアラビアのアルワリ―ド王子に折半で買われ、ニューヨークの街の人々は反対したものの、結局プラザは外国の人の手に渡ったという経緯があります。
そうそう、手前に見えるバーグドーフのショーウィンド―も鮮やかですね。
背景に、こんなに毛足の長い本物の絨毯を使うというゴージャスさ。
去年から引き続いて流行のアニマルプリントや、透明なレインコートなどが飾られています。
バーグドーフ・グッドマンは1899年に創業された高級デパートで、そのショーウィンドーはまるで美術館の展示のようと世界中の人々に憧れられてきました。ところが今回のコロナ下の5月に、親会社であるニーマン・マーカスが破産申請を出して経営破綻してしまったんです。バーグドーフはどうなってしまうの!?という噂も多々飛び交ったんですが、9月になってニーマン・マーカスが40億ドル(4,200億円)もの負債を裁判所から免ぜられ、多店舗を閉鎖はするものの、再建に向けて動き始めました。
現在バーグドーフは月曜から日曜、毎日午前11時から午後6時までの営業時間ですが、ウィンドーも店内ショッピングも健在です。
トランプ大統領がフロリダに戸籍を移してしまったとかで、タワー前ひっそりと静かです。接戦報道が相次いて、その上選挙投票の郵便投票に不正の疑いがあるとかで、現在まだトランプ陣営からの敗北宣言はされていません。
トランプ氏のツイッター発言が大人げないと、反トランプな人々はアメリカに多数います。
ただ彼の行動力には目を見張るものがあり、そのエピソードの一つが、セントラル―パークのスケートリンク、ウォルマンでしょう。1980年のこと、市の予算不足で氷が張れない、何とかするための改修工事には2年間かかるだろうとニューヨーク市は発表しました。その後当初の予定を大幅に遅れて6年がたち、市税13ミリオンダラー(約14億円)を投入しても解決できなかったことに業を煮やしたトランプ氏、自分が解決する!と名乗り出て、私財を投じて4ヶ月で氷を張れる状態にしたということです。
タワーの隣にはLVMH買収に揺れるティファニー・フラグがあります。両社間の最初の買収契約が破綻して、現在再交渉中です。プラザホテルはトランプ氏の時代に外国ファンドの手に渡りましたが、今度はティファニーもLVMH傘下に入ってしまうようですね。それがグローバルな流れ、ということなのかもしれません。
今回は違いますが、5番街のアルマーニ・イクスチェンジも、かなり動画をディスプレイに使っています。
7月にはマスクをしていた銅像も、今はマスクなし。通りを歩く人々は未だに、マスクがマストなんですが…。
5番街を降りてきて、ロックフェラー界隈にたどり着くと、高級デパート、サクス・フィフスのショーウィンド―も変わっていました。つい数日前までVOTEと飾られていたんですが…。
VOTEはこの夏、ファッション・ステイトメントとして、数々のブランドがTシャツやスゥエターのデザインに取り入れていました。ダイアン・フォンファステンバーグ、ラグ&ボーン、トリーバーチら大手デザイナーたちまでも。実はBLM(ブラックライブズマター)運動以降、ファッション・ステイトメントはより政治的なメッセージを帯びてきている感じがします。
VOTEは本来“投票しよう”という意味なんですが、ファッション・ステイトメントとしてのVOTEはVOTE OUT、つまり、トランプ大統領を投票によってホワイトハウスから追い出そう、という意味のようでした。
ティラー・スゥイフトのような著名シンガーや、マイクロソフト社を立ち上げたビル・ゲイツ氏ら大物実業家も次々、バイデン氏支持を表明して、メディア的にはトランプ大統領、かなり不利な状況だったと言えます。
ただ、カソリック信者や、保守的な価値を信じる人々の間では逆に、熱狂的にトランプ大統領支持がうたわれました。アメリカが2つに分断されてきている感じが確かにありましたね。
それがようやく、サクスはニューヨークを愛する、とポジティヴな表現になって、ホッとしています。
あれっ?5番街のロンシャン・フラグ、ポケモンとコラボしているんでしょうか。
ロンシャンは1948年からスタートしたフランスのブランドですが、この10月から、ゲーム業界と初コラボで、ピカチュウデザインのバッグを販売しているそうです。コラボは最近各ブランド多いものの、ピカチュウとは驚きました。
ロンシャンのLGP ブランドは昨年、ロンシャンに使われているLONGCHAMPの9つの文字を使ったデザインということで話題になりましたが、その発表の折にはイメージモデルということで、アメリカで大人気のリアリティ番組“お騒がせカルダシアン家”4女でスーパーモデルの、ケンドル・ジェナーが起用されていました。
LGPの文字が躍るバッグも遊び心満載でしたが、さらにピカチュウを加えて、ゲーム好きな若い女性たちにアプローチしているんでしょうか。確かに、コロナでゲーム人口は格段に増えていますよね。
店内でも25%キャパ内なら食事ができるようになりましたが、外の仮設スペースも、すっかりおなじみとなってきました。ただ今年は11月に入っても暖かいんですが、今年いっぱい25%だと、12月に外はキツイと思います。
トランプ大統領陣営は選挙の不正を訴えて、法廷に決断を仰ぐ方針のようです。しかも大統領側の弁護士代表は、9月11日の英雄的活動でアメリカの市長と言われた、元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏だというのですから、今回のアメリカ大統領選挙、“何でもアリ”な熱さで展開しているように見えます。
一方、今日のニュースでは、アメリカの製薬会社ファイザーによる最終テストが成功した、と報道されていました。コロナといい、大統領選挙の行方といい、本当に早く解決してほしいものです。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。