今日は、マディソンです。
2021年最初は、ソーホーに出店したジェイソン・ウーのメンズ&ライフスタイルブランド、コテ・ア・コーストのご紹介からです。
ブランド自体は2015年に、ラグジュアリーで高品質なメンズ・ファッションブランドとして、ニューヨークで誕生したんですが、その後、手作りのアクセサリー、ホームグッズ、家具、陶器、健康グッズなどとラインナップ広げてきています。クリーンでミニマムでありながら、生きている生命体としての地球の息吹を感じさせる、というのがコンセプトだそうです。
ジェイソン・ウーは、ニューヨークにあるファッションの名門校パーソンズを卒業していますが、生まれたのは台湾、育ったのはカナダのバンクーバー。高校3年生の時に、奨学金でフランス留学し、帰国後は人形の服をデザインしては作成していたそうです。一時期、陶器づくりを習うために日本で修業したこともあるそうですが、ファッションへの興味はフランス時代からの、人形の服作りが始まりだったようですね。
2003年には、人形ではなく人間の服作りに着手して、コレクションをたち上げました。ファッション業界でめきめき頭角を現してきたのが2006年頃からで、2008年にはファッション・グループ・インターナショナルから “輝く新星” 賞を受賞しました。この年の彼の活躍はすさまじく、ニューヨーク・コレクションの母体であるCFDA(カウンシル・オヴ・ファッション・デザイナーズ・オブ・アメリカ)からヴォーグ賞も受賞しています。
自身のブランドだけでなく、2013年にはヒューゴ・ボスのアーティステイック・ディレクターにも就任していて、ここ15年の彼の勢い、凄まじいものがあります。
彼自身のデザイナーとしての勢いとは裏腹に、ホームグッズの方しっとりと穏やかです。ミニマムでありながら、さり気なくフェイクフアーが置かれている椅子。空気も澄んでいてクリーンなイメージの強い、彼の育ったカナダと、アジア的で少しごちゃごちゃ感のあるテーブルの温かみが、ラグジュアリーブランドながら決して冷たく感じないんですね。
コテ・ア・コーストのホームグッズは色合いがぐっと落ち着いていて、今時のカラフルブームとは対極にある気がします。普通なら、この中に何かアクセントカラーなど入れそうなものなんですが、フランスに触発され、アジアの血をひく彼は、そんな風に軽く人の目を惹くワザを嫌っているかのようです。
家とは落ち着く場所。男性美は女性美とは違うという、そんな静かなメッセージが伝わってきますね。
一方でジェイソンのオートクチュール・コレクションは、今回ご紹介しているコテ・ア・コースト的世界とは全く真逆で、女性美の滑らかな曲線を強調する形や色に溢れています。数々の賞を受賞してファッション業界的には順調に登ってきたジェイソンですが、一般に広く彼を知らしめたのは今から12年前の、オバマ大統領の就任式後の舞踏会でした。ミシェル夫人が彼のドレスで現れたとき、その白いワンショルダーのドレスが、彼女の力強い美しさを最大限に引き立てていましたね。
ミシエル夫人はその後も、ヴォーグ誌の表紙を飾った折にジェイソンのシルク・ドレスを着ていました。そして初めてのヨーロッパ・ツアーでエリザベス女王に謁見するときにも。オバマ氏が再選された時の就任舞踏会でもまた着ていたので、ミシェル夫人にとっては大切な日はジェイソンのドレスで、と決めているかのようでした。
実はミシェル夫人だけではなく、現大統領トランプ氏の最初の夫人、イヴァナ夫人もジェイソンのドレスがお気に入りだそうです。アメリカ一有名なドラッグ・クィーン、ルポール人形のドレスも作成したことがあるそうで、ジェイソンのデザインの幅広さに驚かされますね。
表に出ると、ソーホーの通り、今はすっかり静かです。世界中で感染者がまたまた増えてきて、旅行もままならないし、ブテイックの中にも閉めているところもちらほらあるので、街の人たちもあんまり外に出て来ないからでしょうか。
近くのヴェロニカ・ヴィアードがあいていました。2010年からスタートしたばかりの、まだ10年くらいのブランドなんですが、ここソーホーでも大人気です。そうそうメーガン妃が着ているのも話題にはなりましたが、一番よく目にするのは、ファッショニスタで自身のアクセサリー・ブランドがリアリティTVショー“ベリー・キャヴァラリ”という番組になっている、クリスティン・キャヴァラリでしょうか。ちょっと西海岸的かもしれません。
2006年から2010年にアメリカで大ヒットしたリアリティ恋愛ドラマ “ヒルズ” には、アメリカ中が注目していましたが、その中心人物の一人ローレンのライバル的存在として現れたのがクリスティンでした。ヒルズのスピンオフ番組で主演したローレンの親友ホイットニーのライバルとして現れたのが、やはりファッショニスタのオリビア・パレルモだったことを思うと、ファッショニスタはインスタ・フォロワーを伸ばすためにも、こうしたリアリティ・ドラマを上手く使っていたようです。また、それらのドラマのヒロインたちが着ていそうなファッションなんです、ベロニカ・ビィアードって。
こちらのアートショップは以前ミッドタウンで入ったことがありました。ソーホーにもできていたんですね。全体的にファッションも、それから内装もカラフルがただ今人気なので、ポップアートもつられて人気のようです。カラフル家具にマッチしますから。
次のミーティングのために、地下鉄でミッドタウンに戻ってきました。と、こちらはハイヒールの代名詞、クリスチャン・ルブトン。見てください、ヒール高いですよね。これくらい高いと、脚がスラっと長く見えるので、パーティ社会のアメリカでは大人気です。
横から見ると、甲の部分、浅い感じがわかりますか。浅くすることで、より一層足が長くみえることを計算してデザインされているそうです。また、ウィンドーの靴はただ今人気のヘビ柄ですが、ルブタンの一番人気はベージュ系、いわゆるヌードカラーで、それでまたより足が長く見えるという、あくまでファッションモデルの印象に持っていく感じなんですね。
ソーホー的ファッションが都会と言ってもカジュアルよりなのに対して、ミッドタウンに戻ると、これぞハイファッション的で、同じ街なのに、なんだか不思議です。
そしてドルチェ&ガッパーナ。ご存知イタリアを代表するブランドですが、90年代には次々話題になったブランドです。まず1992年に広告キャンペーンを担当した写真家のスティーブン・マイゼルがモデルたちにギャングのようなポーズを取らせました。ギャングスター・シックというキャンペーンの、この辺りまではファッション性ある主張という感じだったんですが、3年後の1995年のコレクションでは、あまりにもアメリカのマフィア風によっている、ということで、本国いたりあだけでなく、イギリスでも物議を巻き起こしています。
世界中で知られるようになったのは、何といっても、2001年のマドンナの世界ツアーの衣装をデザインした辺りからでしょうか。マドンナほど話題にはなりませんでしたが、ホイットニー・ヒューストンやビヨンセの衣装も手掛けているようです。そうしたブランドの強いイメージのせいか、ドルガバというとパーティなど自分を主張する場で戦う服、とでもいう感じがあるんですよね。
今年はでも、瑛人さんの“香水”のせいでしょうか。というよりは、それをモノマネしたチョコプラの動画のせいで、ドルチェ&ガッパーナというとき、少し半笑いになってしまうんですが…。知名度は上がったものの、ハイブランド的には抗議モノかもしれません、それって。
如何でしたか。
ワクチンで収束しそうなタイミングで変異種が出て来たり、感染者も増えて来たりと、なかなかコロナが治まってくれないんですね…。マンハッタンには高層のオフィスビルも多々ありますが、現在の見通しでは、リモートからの本格復帰は9月頃になるとみられています。
一日も早く、コロナの無い世界に戻れますように。