こんにちは、吉田タイスケです。コロナ禍をきっかけに「田舎生活」を求める人がフランスでも増えています。今回は田舎どころか、それも飛び越えて森でエコな暮らしをしているパリジェンヌ、ニノンをご紹介。写真はパリ南東のフォンテーヌブロー近く、クーランスという街で彼女が借りているアトリエ。元々は消防車のガレージだったところです。
「ちなみに、ワタシはそのパリジェンヌに飼われている柴犬の『キツネ』です」
たしかにキツネっぽい、、。柴犬もフランスですっかり人気の犬種となっています。よろしくね。
ニノンはヴィンテージ品を扱うほか、自分でデザインしたシルク素材のリラックスウェアをこの場所で草木染めしています。
クルミ、アボガド、ルバーブなど、様々なものが原料となります。色の見本帳を見せてもらいました。
こちらはルバーブの根。本来は捨てられるものを野菜畑から譲ってもらい、染料に使用しています。ここにも自然の循環がありますね。
厳密には同じ色が二つとない仕上がり。パリの人気セレクトショップ、メルシーで扱っています。
クーランスの町並み。現在も、貴族階級である侯爵一族が住んでいる城があることで有名です。
さて、城下町のアトリエから車でさらに10分、まだ雪が残る静かな森に移動しましょう。
電気も水道も通っていない、ニノンが暮らす小さな森の小屋はここにあります。
5月になればバラに囲まれる庭は、まだ眠っていました。
もちろん、キツネはいつも一緒です。
こちらは寝室。あちらとこちらの世界をつなぐ、アーチ型の窓がいいですね。
ベッドには湯たんぽ。我が家でもこの冬湯たんぽが大活躍しています。このムートンカバーを真似したいと思ってニノンに聞いてみたら、自作でした。
水道は通っていないのですが、雨水を貯蔵するタンクがあり、洗い物などはそれを利用しています。
蛇口にかかっている燭台。考えてみれば電気がないので、蝋燭は全て「実用」なんです。
古いラジオが、こういう森の小屋では絵になりますね。ほしい!←でました。
台所用品を入れている小さな真鍮のバケツのようなもの、これはインドで使われていた牛乳を入れる容器だそうです。隣にかけられたクロスもそうですが、素材から伝わる存在感みたいなものは大きいですね。こういう場所にプラスチックを置きたくない気持ち、わかります。
コンロとオーブンはキャンプで使われるガス仕様。食器棚やテーブルは蚤の市サイトやブロカントでそれぞれ20ユーロ(2500円)ほど。買い物上手ですね。表面の使い込んだ感が小屋にぴったりです。
ちなみにトイレは外でおがくずを利用。そしてお風呂はニノンが笑顔で持っているこちら。タライです、、えーっ!
ヤカンでお湯を沸かして、お風呂にするそうです。なかなかにサバイバル。
携帯やパソコン、必要最低限の電気は蓄電池を使用。アトリエで充電すれば、数日間は全く問題ありません。
なんでもお洒落に見えてきますが、天井のカゴは片付ける場所がないので吊り下げています。でも、これもカゴ自体がかわいいですね。
お昼に牡蠣をご馳走になりました。牡蠣柄まで綺麗に見える小屋マジック、、。
こちらは寝室で、元々船での旅行の際に使われていたトランクをクローゼット代わりに。
自分でデザインしているリラックスウェアに着替えてもらいました。豪華客船でくつろいでいるかのようですね。森の小屋、いいなあ。
「ディオールの鞄を持って、お洒落な洋服を着て、森の小屋で暮らす私を『よくわからない』という人もいるけど、私にとってはどちらも同じ“自然”なことなの」と話すニノン。今後は染色の素材を求めて、インドやインドネシアに拠点を移すことも考えています。『〜しなければならない』という価値観に縛られない自由さ。エコというより、『自然体な暮らし』という表現がよく似合う彼女から元気をもらいました。次回もパリジェンヌのライフスタイルをご紹介します。どうぞお楽しみに。
「コーディネイション:Tomoko YOKOSHIMA」