今日は、マディソンです。
お馴染み、コーチの5番街フラグショップに来ています。ショップ内に設けられたこの(Re)ラブドと名付けられたブースが、ただ今のフラグのテーマなんですね。Reはリサイクルなどの言葉につけられている“再び”というニュアンスの意味を込められた接続詞。英語の言葉によっては、最初につけることで反対の意味になることもあるんですが、ここではもちろん“再び”です。
お馴染み、5番街コーチの表。
ショーウィンドウにもピンクで<Re>ラブドと明示されています。ラブド・アゲインとかではなくリ・ラブドとつけるあたり、若々しい弾みが感じられますね。細かなことですが、こうした細部までへのこだわりにも、コーチ人気の秘訣はあると思います。
リ・ラブドというキャンペーンの内容は、“貴方が愛したコーチのバッグをリサイクルしましょう”というもの。現在フラグをはじめ全米15店舗が実験的に行っています。それらの店舗の一つに愛用のバッグを持ち込んだら、コーチ専属スタッフが査定して、10ドルから140㌦までで買い取ってくれるというもの。全部のバッグではありませんが、革製のものは100%買い取ってくれるそうです。
この棚に並んでいるバッグは、新品みたいに見えますが、実はそうしてリサイクルされたものばかり。
人気バッグのダッフィーですが、こんな滑らかな色合いは新品では無理だと思います。革製品の場合、丁寧に使い込むことで、新品よりも亜麻色具合がより優れてくるようですね。重厚な落ち着きが、品質まで上げてくれる気がします。
ウィリスも、正面の白いバッグだと分かりにくいんですが、茶色の革のものだと、使い込むことでグラデーションが出てきて、断然重厚感が増します。
コーチの場合、革の染色はニンジンやレッドフルーツ、それにターメリックという自然な植物素材だけを使って行われているんだそうです。
トレンチコート、タイムレスなデザインですね。素材はコットンだそう。
このバッグが並んでいるテーブルもリサイクル素材でできていますが、実はその下に置かれたラグもリサイクル素材なんです。
ショーラグというイギリスはロンドンのブランドで、ルイ・リガノとジル・ミラーの二人が立ち上げました。私も最近知ったことなんですが、従来の足ふきマットの場合ゴム素材なので、製造過程でも、作り終えて実際に使用している間にも実は有毒ガスがいくらか出ているそうなんです。
ショーラグのマットは、100%純粋なシリコーン素材でできているので、全く有毒ガス、出ないそうです。しかも長く使用しても、ゴムと違って硬くなったり、弾性が緩くなったりしない、つまり長持ちするというところもサスティナブルというわけです。
それに、シリコーンは医療用や料理用に使われるくらい衛生的でもあります。湿気に強いためカビにくく、分解しにくいためホコリもでにくい上、定期的に専用洗剤で洗うこともできるそうなんです。サスティナブル、勉強になりますね~。
見ただけでも、柔らかい感じが伝わってきませんか?
ソフト・レザーのバッグです。コーチでは皮をなめす工程を工夫することで、新品でもヴィンテージな柔らか感を出すことに成功しました。
もちろん、コーチ5番街フラグでこれまでも行われてきた、アクセントチャームをつけて自分の好みにカスタムしてくれるサービスや、補修してくれるサービスも、変わらず行っています。
コーチのバッグを買って十分そのスタイルを楽しんだら、その上で今度はカスタムで自分流にアレンジして2度楽しむ、長~く愛用できるようにしているんです。
コーチの親会社であるタペストリーは、2018年に国連によるグローバル契約に署名したと聞いています。国連が声を上げたサスティナブルへの取り組みが、環境への配慮、腐敗防止だけでなく、人権の保護や不当な労働排除など10項目にわたって取り決められていて、そのガイドラインに沿って企業運営をしていくという契約です。
その結果、サスティナブルな取り組みに弾みがついて、去年2020年にはバロン誌での“アメリカで最もサスティナブルな企業2020”にも選ばれました。
サスティナブルは日本でも今盛んにうたわれていますが、タペストリー傘下のコーチはじめアメリカの企業は既にESGへと活発に動き始めています。Eは環境(Environment)Sはソーシャル(Social)、そしてGが(Governance)の頭文字です。
それまで効率化による利益一辺倒だった企業運営を環境問題や社会問題を反映した形にするために、民間からの投資を受ける基準にそれらをもうけようという運動が始まりました。つまり利益の向上だけを目指している企業の場合、雇用者との間でブラックだったりハラスメントだったりといった問題が起きやすくなります。
一方環境に配慮の無い企業は今の時代、購買者にそっぽを向かれることが多々出てきます。そうした問題を抱えた企業の利益率が今は良くても、長期的に繁栄していくとは思えません。つまり投資には値しない企業ということになります。逆から見るとESGに配慮した企業こそが投資するに値する企業、という見方が浸透してきているんです。
さて、如何でしたか。
(Re)ラブドのブースでバッグを手に取っているのが、今回案内してくれたフラグ・マネージャーのウェスリーです。コーチに関しては生き字引きのようになんでも答えてくれて、頼りがいある彼率いる5番街フラグは、いつ訪れても世界中からのコーチ・ファンで一杯です。マンハッタンを訪れたら、是非一度お訪ね下さい。楽しいですよ。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。