ライフスタイルにプラスになる、ファッショナブルな情報を発信。-abox-

892

『フランス初の極地クルーズ船、コマンダン・シャルコーに乗船』ヨーロッパ写真日和VOL.268

こんにちは、吉田タイスケです。今回はちょっと趣向を変えて海の上から。先日、世界で最も多彩な航路を持つフランス唯一のクルーズ会社ポナンが新しく建造した、北極や南極にもたどり着ける砕氷船「コマンダン・シャルコー」のお披露目クルーズに乗船してきました。環境に配慮しながらもフランス流ラグジュアリーを兼ね備えている、クルーズ船の内部をご紹介します。

PONANT JP
http://www.ponant.jp/index.html

まずは乗船。昨今の状況に沿って、ワクチンパスポートを持っていても72時間以内のPCR検査で陰性であること、加えて乗船時に発熱していないことが求められます。ワクチンパスポートと健康調査票を提出し、検温してから飛行機のような荷物チェックを経て、晴れて乗船です。

すでに船とは思えない内装の中、乗務員が客室まで案内してくれます。壁にはイヌイットの暮らしや、北極をモチーフにしたアート写真が飾られていました。

お部屋はこちら。自分が3-4人眠れそうなベッドが鎮座していました。シックですね。

バスルーム。アメニティはパリでお馴染み、老舗のディプティックです。さすがにバスタブはありませんが(スイートルームにはあります)、高級ホテルと遜色ありません。

テラスに面したリビング。出港しても船のwi-fiがあるので、インターネットにも繋がります。一週間くらい泊まっていたいところですね←実際は一泊。

他のフロアを見学にいきましょう。上下フロアを繋ぐ階段はモダンにまとまっています。

最上階にはジムも。以前にこのブログでも紹介した、ル・アーブルのカラフルな現代アートがここから眺められました。

まさか海側から眺める日が来るとは。

ジムの隣にはラウンジ。カクテルを片手にボサノバの生演奏を聴きながら、パートナーと語らうも良し、船上での出会いに身をまかせるも良しです←ちなみに撮影に忙しい人もいます。このコマンダン・シャルコーは3万トンと小さな船で、クルーズカテゴリー的には一番上のラグジュアリーに分類されます。

270人の乗客と乗組員の比率は1:1.2、きめ細かやかなサービスが受けられ、船内スペースに比して乗客数が少ないので、それぞれの施設でゆったり過ごすことができます。以前に地中海で乗ったカジュアル船は5000人(!)ほどが定員でしたから、ゆったり度合いがだいぶ違ってきます(賑やかなイベントなどは盛り上がりますが)。

さて、船内にはスパも当然のようにあります。オリジナルに発注したという長椅子が、寝心地良いんです。

船上のプールもありますし、

サウナまで。窓が大きくても、洋上では外から見られる心配がないですね。

すごいなと思ったのはこちら。

題して「スノールーム」、マイナス2度〜10度に保たれています。サウナは約80度。サウナとスノールームを行ったり来たりすれば、船内で南国から北極まで一度に楽しめると、、←南国が暑すぎです。

暑さ寒さを味わったあとは、パリのトリートメントが洋上で受けられるお部屋にどうぞ。

こちらはエレベーターホール。動くアートを映しだす大きな液晶スクリーンが、未来感を感じさせます。

この日は洋上で出港式が催されました。

あまりの迫力と音の大きさでカメラを落としそうになった汽笛の合間に、セーラー服を着た楽隊によってフランス北部ブルターニュ地方のケルト音楽が演奏されます。風にのって響くバグパイプの旋律、小太鼓のリズミカルな拍子。さあ、行きましょういざ北極点へ!←一泊で戻るんだって。

演奏者は男性がセーラー服、女性がスーツを着ています。  

さてさて、海風に吹かれながらバグパイプを聴いた後は、シャンパンでアペリティフをどうぞ。

ディナーのドレスコードは、女性はカクテル、男性はスーツとなっています。マダム、テーブルまでご案内しましょう。

フランスといえば美食、というわけで極地へ向かうフレンチクルーズでは洋上の三つ星レストランを楽しめます。コマンダンシャルコーでは三つ星シェフ、アラン・デュカスが全てのメニューを監修。調理を担当するシェフのほかにベーカリーとパティスリーのシェフもレストラン・アラン・デュカスから来ています。

北極に乾杯!と隣のテーブルの皆さん。南極は大陸なので南極点そのものには行けませんが、北極は北極点にこの船のまま辿り着くことができるんです。

この日はムッシュー・デュカスご本人が来て、料理の説明をしてくれました。

セップ茸のスープのあと、前菜に帆立とキャビア。緑のピュレはレタスです。シンプルで他には何もいらないマリアージュ。

オマール海老、じゃがいも、黒トリュフ。こちらも王道ながらエレガント。赤ワインがよく合います(←ざっくり。確かピノノワールだったような、、)。

メインは鶏の胸肉のアルブフェラソース。見た目はフォトジェニックとはいえませんが(←オイ)、アラン・デュカスの歴史と矜恃が含まれる一皿です。地味に見える(←二度目)このソースはデュカス氏が70年代に師と仰いだ料理人アラン・シャペルから受け継いだものであり、すでにソースの中にフォワグラ、トリュフ、クリームがこれでもかと入っている『ザ・フレンチ』なソースなんです。

これがフランス料理なんだ、という宣言にも聞こえます。クルーズでフレッシュな素材を使って料理を提供することを「挑戦」と氏は話していましたが、材料が調達できない洋上で複雑なソースを添えた料理を提供することは、まさに贅沢な挑戦ですね。

デザートはショコラ・アラン・デュカスから。クルーズ型のかわいいチョコレートです(味は濃厚)。

最後に、スイートルームもご紹介。こちらはテラスに面したバスタブもあります。まるでどこかの邸宅のよう。

他にもポナン社のクルーズの魅力は、比較的自由に操舵室を訪ねることができるということ。飛行機でいえばパイロットルームを訪問できるということですから、なかなかできない体験ですね。さあキャプテン、北極へ!←どれだけ行きたいんですか。

夕食の際、何度も北極点を訪ねたこともあるポナンのグローバル・セールス担当者の方が同席だったのですが、彼曰く、「北極で眺める雪の結晶はそれだけで完璧な美しさだった。極地では、シンプルなことに深く感動できる」と。それこそ、一番の贅沢なのかもしれません。見せてもらった写真は青空とどこまでも広がる氷河だけの世界。まるで雲の上にいるように見えました。

フランスのラグジュアリーを体験しながら訪ねる極地クルーズ、いつか北極写真日和をお届けできますように(?)。次回はパリコレ、プレタポルテスナップをお届けする予定です。どうぞお楽しみに。

『フランス初の極地クルーズ船、コマンダン・シャルコーに乗船』ヨーロッパ写真日和VOL.268Takashi -タカシ-

関連キーワード

関連記事