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『ノードストロームのマンハッタン・フラグ店』ニューヨーク・ニューヨークVOL.122

マディソンです。

今日はミッドタウン57丁目、通称ハイブランド・ストリートにあるアメリカ最大の高級デパートチェーン“NORDSTROM(ノードストローム)”の、マンハッタン・フラグ店にやってきました。

マンハッタンには高級デパートのフラグシップ店がひしめいていますが、小室圭さんと眞子さんの新居から一番近いのがこのノードストロームで、歩いて15分くらいでしょうか。

ここがオープンしたのは2019年なんですが、オープンしてすぐコロナが世界に広まったこともあって、店内に入るのは初めてなんです。果たして店内はどんなテイストなのか、期待が高まってワクワクしています。



一階入り口付近には、まずはバッグがディスプレイされています。すっきりと配置されている印象ですね。

ノードストロームの本拠地は西海岸のシアトルなんですが、アメリカの高級デパートといえば、ロックフェラーセンター近くで頻繁に行く機会のあるサクスフィフスアベニュー、マンハッタンで一番再開発が進んでいるハドソンヤードにあるニーマン・マーカス、元々5番街に君臨しているバーグドーフ・グッドマンなど多々競い合っています。そんな激戦区マンハッタンに2019年、初めてノードストロームが乗り込んでくるとあって、これまで興味津々でした。

この大振りパールもどきのバッグ、きっとパーティで映えるでしょうね。感じるテイストは今のところ、近年の流行に乗ったカジュアルでライトな趣です。

出ました、ドクターマーチン。イギリスの、元々は軍隊のブーツにインスピレーションを受けたマーチンのブーツは初期のころ、パンクロッカーを中心に世界に広がりました。ブランドとしては紆余曲折あったものの、今も健在です。それどころか、今年の秋冬はこのブーツ、大流行なんですよ。ノードストローム、しっかり時流に敏感な品揃えのようです。

スニーカー人気がものすごいので、街ゆく人たちはほぼ大半がスニーカーなんですが、マーチン・ブーツはこの秋、本当によく見ます。スーパーモデルのベラ・ハディットなどは2017年頃から盛んにマーチン・ブーツで目撃されていましたし、お姉さんのジジ・ハディットも愛用しているようですね。そうそう、オーランド・ブルームも履いてました。



もう一つ、この秋冬大流行しているのが、パフィーなデザイン。この写真はジャケットですね、空気がしっかり入っているスタイルの。銀色のジャケットも今年人気のようです。

ノードストローム創始者のジョン・W・ノードストロームはスウェーデン人で、何時かデパートを経営したいという夢を持ってアメリカに移民してきたと聞いています。1887年、まだ16歳の時に。

ヨーロッパの移民誰もがそうであるように、自由の女神に迎えられてニューヨークに船で到着すると、召使いとして働きながらアメリカを縦断、1897年にカナダのゴールドラッシュで金を掘り当てて13,000ドル(148万2,000円、1ドル114円)の利益を手にしたそうです。それを基にシアトルで靴屋を開いたのが始まりで、後に二人の息子がその靴屋をついで運営していましたが1963年にベスト・アパレル・オブ・シアトル社を買収した折に、ノードストロームという名前に変更して靴以外の販売に着手したという歴史があります。



ジャケットはこの秋冬、もう全面的にパフィーなんでしょう。というかパフィー以外考えられないといった陳列状況です。

この下の写真のジャケット、お約束のパフィーはもちろん、ベルトが白いロープというのが面白いでしょう?ブランド名はA.L.C.で、コンテンポラリーで自信にあふれた女性のためのブランドというコンセプトを持っています。ニューヨーク生まれでパーソンズ大学でデザインを学んだ生粋のニューヨーカー、アンドレア・リーバーマンが2009年に立ち上げたニューヨークらしいブランドなんです。

ローラさんの友達で女優というよりは近頃はスキンケア事業家で知られているジェシカ・アルバや、朝のテレビショーが大人気でアメリカの朝の顔とも言われているケリー・キッパー他、多々セレブが着ているところをインスタにあげています。

アンドレアがパーソンズ卒業後、最初にデザイン、スタイリングしたのは実はヒップホップのスターシンガーたちで、スタイリングを初めてすぐジェニファー・ロペスのデザインも手掛けたと聞いています。このロープも少し、ヒップホップ的な感じは確かにしますね。

このドレス、可愛いでしょう?帽子も合わせてパフィーというところがニクイです。となると、足元はもちろんブーツ。今年の秋冬一押しのスタイルですね。

一言にパフィーな袖にもいろいろ種類があるそうで、これなどロミオとジュリエットのジュリエット的パフィーさを表現した袖でしょうか。物語のストーリーだけではなく、この袖の方もなんともロマンチックです。赤と黒のタータンチェックではなく黒と白のパターン柄なので、デザイン全体の甘い感じに抑制がききます。帽子も含めれば大胆な表現なのに、色味のおかげで決して大げさになっていないんですね。

この黒のドレスも、お約束のパフィー袖。

このデザインもパフィー袖がロマンチックで甘い印象なので、色は逆にシャープな黒でバランスをとっています。確かに、このデザインでピンクだと完全にお花畑になりそうですね。

フラグシップだけあって、店内は明るく、軽く、楽しいディスプレイです。

実はマンハッタンにこのノードストローム・フラグをオープンした後、ノードストローム・ローカル・アッパーイースト店、それにノードストローム・ローカル・ウエストビレッジ店も追加オープンしているんです。このそれぞれのローカル店舗、フラグ店舗とはテイストが全く違って、ネット販売のピックアップや仕立て直し、靴の修理、スタイリストによるアドバイス、ラッピングなど、カスタマーサービスの拠点となっています。

それだけじゃないんです。アメリカでは衣類を寄付すると税金額が控除される仕組みになっているので、着なくなった古着を受け付けてもいます。サスティナブルが重要になっている今、とっても大切なサービスなんですね。

カスタマーサービス用にローカル店という別店舗を設けるくらい、接客には力を入れているノードストローム。まるでデパート業界のリッツカールトンともいえますが、リッツにクレドがあるように、ノードストロームにもしっかりとした従業員ハンドブックがあって、新規スタッフには、縦12.7センチで横20.32センチの、75単語が書かれたカードが渡されるそうです。

一階に降りていく感じも、とっても芸術的です。地上5階、地下2階の建物の全体にファッション感覚が行き渡っていて、着てみたい服や履いてみたい靴の品揃えはもちろん豊富なんですが、全体の印象がとてもすっきりしているんです。それから、今回は残念ながら紹介できませんでしたが、地下2階のギフトショップには気の利いたお土産が一杯並んでいます。マンハッタンに来られたら、是非一度は訪ねてみて下さいね。

さて、如何でしたか。日本でも、デパートそれぞれにテイストに違いがあったり、接客の仕方が変わっていたりすることはあると思います。高級デパートのフラグがしのぎを削る、ここマンハッタンでも本当にデパートによって違うんだな、と改めて思いました。

近年、マンハッタンの高級デパート界隈では、200年の歴史を持つロード・アンド・テイラーが閉鎖したり、宝石箱と呼ばれたヘンリ・ベンデルも閉店してしまいました。ヘンリ・ベンデルなどMACコスメティックスの火付け役となったデパートとしても知られていて、人気番組“セックス・アンド・シティ”はもちろん“ゴシップ・ガールズ”にも登場してましたね。ショッピングバッグのデザイン、白色と茶色はニューヨークを訪れる女性たちの憧れだったんです。そうそう憧れと言えば、バーニーズも閉じてしまいました。

とはいえ近年の高級デパート事情、そんな寂しいことばかりでもありません。ニーマン・マーカスがハドソンヤードに登場したり、今回のノードストロームの登場もあります。つまりは新旧交代なんでしょう。

ではまた次回、ニューヨークでお会いしましょうね。

『ノードストロームのマンハッタン・フラグ店』ニューヨーク・ニューヨークVOL.122Takashi -タカシ-

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