マディソンです。
今日は11月30日、ロックフェラーセンターの巨大ツリーの点灯式です。ツリーの周囲の通りは人で一杯なんですが、お友達のお宅から丁度ツリー点灯の瞬間を見ることができました。午後10時きっかりに一斉にクリスマスライトが灯ると、集まった人々の方から、まるで地鳴りのような大きなどよめきが聞こえてきていましたよ。
毎年のことですがこの時期、マンハッタンの中でも特にミッドタウンが一番、クリスマス・ムード溢れているように感じます。
57丁目は別名ビリオネア(億万長者ではなく、約1,000億円長者)通りと呼ばれているんですが、その通りにある高級デパート “ノーズダーム” のクリスマス・デコレーションはかなり現代的でした。
11月14日に初披露した飾り付けは、全7階のあちこちでホリデームードを盛り上げていて、ただ他の高級デパートとの違いは、写真を見てもわかって頂けますが、ショーウィンドーというものが無いことでしょうか。
デパート内には120本ものピンクと緑のメタリックなツリーが飾られていて、伝統的な緑と赤ではないところに、ひと味違うセンスを感じます。木ではなくメタリックというところにも、巨大ツリーのあるロックフェラーセンターから少し離れた場所で、サスティナブルを密かに主張しているかのようですね。
代わってこちらは伝統的な高級デパート、5番街に面して57丁目と58丁目の間に位置しているバーグドーフ・グッドマンのショーウィンドーです。
ものづくり職人に捧げたという今年のモチーフは豪華で、とっても贅沢です。紙でできているらしいんですが、細部まで緻密かつ立体的で、かかった時間は何と1万時間!10ヶ月もかかったそうです。題して“モノづくりの魔法。”そのテーマにふさわしく、ショーウィンドーはマジカルで神秘的、ある種荘厳ですらあります。
ショーウィンドーを担当したシニア・ディレクターのデービッド・ホーエーいわく、“毎年クリスマスのこの時期には、その年のテーマに沿って職人技を駆使してウィンドーを飾ってきてもらってきているけれど、今年はそんな裏方である職人たちの方に一度スポットを当てて、彼らを主人公にしてみたかったんだ”そうです。
3Dプリンターで家までも作れるほどテクノロジーが発達している今だからこそ、手作りの良さに立ち返りたかったんでしょうか。
実はつい最近、49丁目のロックフェラセンターそばに、5番街に面してレゴ・ショップがオープンしたんです。
この辺りの店舗は移り変わりが激しいので、元が何のショップだったのかちょっと思い出せないんですが、子供たちへの玩具のプレゼント需要が高まるホリデーシーズンに向けて、かなりの広さの大型店が、プライム・ロケーションにオープンしていたので驚きました。
と、思っていたら同じ5番街のその数ブロック先のルイヴィトン・フラグシップ店のショーウィンドーがレゴ・ブロックで飾られていました。雪模様が張り付いている壁もレゴなら、枝先が雪の重みでたわんでいるクリスマスツリーもレゴで出来ているんですよ。
ご近所にレゴ・ショップが来たので、それをウエルカムしているかのようで、5番街という高級ショッピング通りなのに、まるでご近所意識があるみたいですね。
たどり着きました。ロックフェラーセンターのツリーの真向かいに位置する、サクス・フィフスアベニュー。この高級デパートの場合、ショーウィンドーは毎年もちろん話題にはなりますが、夜になると音楽とライトに人々が集まります。まるでディズニーワールドのライトショーみたいな迫力なんですよ。
同じ高級デパートでも、手作りによるモノづくり、職人にスポットをあてたバーグドーフに対して、サクスフィフスのショーウィンドーはロケットなどテクノロジー的でした。
ですがこのロケットは実はテクノロジーを意味しているわけではなく、今年のサクスフィフスの試みであるミュージシャンのエルトン・ジョンとのコラボレーション、エイズ撲滅団体へのロケット基金を意味しているんです。
11月22日、巨大ツリーの点灯式に先駆けて、エルトン・ジョンがこの場所を訪れ、ミニコンサートを開きました。それが開幕の合図になり、サクスフィフスはまず1ミリオンダラー(1億3,500万円、1ドル135円)の寄付を同団体に行い、今回のコラボをアーティステイックに表現したショーウィンドーも一般公開したという次第です。サクスはホリデーシーズンを通じて出た売り上げから、さらに50万ドル(6,750万円)を同団体に寄付すると発表しています。
サクスCEOのマーク・メトリックはインタビューに答えて、 “サクスフィフスはホリデーシーズンを意義あるものにするために、お買い物にいらして頂いたお客様たちと、愛と思いやりで繋がるシーズンを構築したいと思っているんです” と語っていました。
サクスフィフスの斜め前、通りを挟んで向かい側にはラルフローレンのコーヒースタンドがあります。濃い緑と白が、ルイヴィトンの雪をかぶったレゴ・ツリーみたいに、クリスマスらしくて面白いですね。外は寒いけれどコーヒーで暖をとってテラス席に座っている人々がたくさんいます。ホリデーシーズン、やっぱりみんな何となくワクワクしているんでしょうか。
ラルフローレンのコーヒースタンドは今年、暖かい時期から既にこの辺りに出ていましたが、巨大ツリーのすぐそばでコーチも何やら準備していました。
実は12月2日から31日まで、ロックフェラーセンターとコーチはコラボをするそうで、ニューヨークブランドとして80周年を迎えるコーチと、クリスマスの伝統を紡いできたロックフェラーセンターが共同で、冬のワンダーランドを繰り広げるらしいんですね。
この時期ロックフェラーセンターではアイス・スケートリンクがオープンします。そのスケートリンク・ファツションに、コーチのスキー・コレクションを重ねてプロモートするそうです。ラルフローレンのコーヒーショップのような、コーチ・バージョンのミニバンが出て、クリスマスの時期に合わせたギフトショップとしてポップアップが予定されています。この日は12月1日、明日からの開催に合わせて大わらわな感じが伝わってきました。
コーチの5番街フラグは54丁目で、ロックフェラーセンターからは数ブロック北にあがるんですが、レゴとルイヴィトンのように、高級5番街通りでご近所づきあい的コラボが行われるところが面白いんですね。人々がローカルな温もりを求め始めているということなんでしょうか。
さて、如何でしたか。
ロックフェラーセンターには毎年、大体1億2,500万人もの人々が訪れるそうです。巨大ツリーが飾られるホリデーシーズンは特に人気で、連日平均80万人が見に来ているらしいんですよ。そんな人気の巨大ツリーはニューヨーク市が購入するのではなく、毎年寄付されるのが伝統なんだそうです。ロックフェラーセンターにツリーを寄付したというのは名誉なことなので、選ばれた木のオーナーは代々喜んでプレゼントする、これが一番クリスマスらしいエピソードかもしれません。
ところで木は無料でも、では運送コストはというと、これはロックフェラーセンターの所有者であるティッシュマン・スペンサーが毎年寄付するそうです。となると、サクスフィフスのエイズ団体への寄付というのも、ロックフェラーセンターの伝統に従う試みだったということなになります。伝統をさかのぼれば、寄付とはニュアンスは異なりますが、人々を罪から解放するために自身を捧げたイエス・キリスト、そのイエスが馬小屋で生まれた日こそがクリスマス。つまり他者への愛の表現としてプレゼントがあるわけで、繋がっているんですよね。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょう。