マディソンです。
大型改装を終えて、ようやく今年4月28日に再オープンしたティファニーの5番街フラグに来ています。改装には2年間もかかったので、いつも5番街のこの辺りを通るたび、工事クルーが行き来している姿にもすっかり慣れてきていたほどです。
中はもちろんゴージャスの一言ですが、最近の盗難事件を警戒してか警備も凄くて、以前のような親しみやすさは少し無くなってしまった感じもあります。
今回NYで滞在したホテルは、55丁目の7番街にあるドリーム・ミッドタウンというホテルで、ティファニーからは数ブロックの近さでした。
一階のロビーを入るなり、大きなフィッシュタンクがあって熱帯魚が涼し気に泳いでいました。少し硬くて快適とはいいがたいものの、アンティークの椅子があったり、アートが飾られていたり、ロビー横には遅くまで開いている地元の人気バーもあり、今どきのブテイック・ホテルの作りです。
ドリーム・ホテルは2004年に、インド系アメリカ人のサン・シング・チャトワルが立ち上げました。20年間でニューヨークに2件、ハリウッドやマイアミなどの国内店だけでなく、カタールにも進出しています。現在は6店舗なんですが、今年2月にハイアット・グループが買収、今後はラスベガス、ダラス、パームスプリングスなど、11店舗をアメリカ国内に広げていくという、今もっとも勢いのあるホテルの一つです。
アメリカの学校は6月半ばには夏休みに入ってしまったので、ファッション・ブランドもリゾート・モードのようですね。
ここは、2010年に起業したレイミー・ブルックの5番街フラグシップ店。彼女は元々ファッショニスタで、とりわけジーンズにこだわりがあったそうですが、そのコレクション・ジーンズに合うセクシーでしびれるトップスが巷にない!と自分で作ることにしたそうなんですね。
トレンドを追わず、クラシカルで美しいシルエットにこだわっているという彼女のスタイルは、エリザベス・ハーリーやシンディ・クロフォード、ジェシカ・アルバといったセレブ達が大層お気に入りのようで、愛用している姿を続々隠し撮りされています。
ティファニーだけでなく、実はクライアントの高級ヘアサロンもマディソン街に新装オープンしたので、訪ねてきました。
何とあのカーライル・ホテルの前です。このホテルのバーは私にとって憧れの場所で、もちろん入ろうと思えばいつでも入れますが、思い入れがありすぎて簡単に入りたくない場所でもあるんです。
カーライル・ホテルのバー“べメルマンズ”といえば、過去20年間のマンハッタンのバー総合ランキングを集計すれば、きっと1番だという噂があるくらい有名なバーです。実は亡くなったケイト・スペードの大のお気に入りのバーでもありました。ダイアナ妃が生前ニューヨークを訪れた折にも、もちろんこのホテルに滞在したと聞いています。トルーマン、JFK、ニクソン、カーター、レーガンなど、カーライルをニューヨークの家と呼んで滞在していた大統領は多いらしいんですが、JFKが大統領就任式の前にこっそりマリリン・モンローと会っていたのもここだという話です。
マディソン街を少し歩くと今度はマーク・ホテル。この5つ星ホテルのペントハウス・スィートは一泊なんと75,000ドル(1千575千円、1ドル141円)だそうです。ええ、一泊に1千万円!もするんですね。そんなニューヨーク最高値ともいえるホテルのレストランが、庶民の味のホットドック・スタンドを置くというところ、それがニューヨークらしくて、これを考案した企画者に座布団を1枚差し上げたいと思うくらいです。
美しいものと醜いもの、最高値のモノと最安値のモノが同時に存在する、そんな街がニューヨークだということを、このホテルのプロモーターが理解しているということでしょう、それにしてもしっくりきていますね、このホットドック・スタンド。
5番街のグッチもリゾート仕様です。
偶然通り過ぎたこの女性、電話の感じでは何かビジネスで不首尾があったのか、人目もはばからず大声で文句を言っていました。彼女こそリゾートで心機一転が必要かもしれません。
さて、いよいよ新装開店のティファニー。
11,000スクエアフィート(1,021平方メートル)という広さは、ハイエンド・ブランドの単一ブランド店としては世界有数の広さだそうです。改装以前の2019年の調査では、マンハッタンで観光客が訪れる場所のトップ5に入ると言われていました。このフラグシップの今回の改装は、1980年に行われて以来のだったとのことです。
2019年11月に、LVMHとティファニーが16.2ビリオンダラー(2兆2,842億円)で買収合意したというニュースには街の誰もが驚きました。ティファニーはアメリカ人女性が、生まれた時にはそのシルバーのスプーンでお祝いされたいと思い、年頃になれば大好きな人からそのエンゲージメントリングを受けたいと心から望み、やがて結婚する時にはブライダル・レジストリーで食器やグラスを親戚や友人からプレゼントされたいと願う、そんなブランドだからです。
マンハッタンの富裕層の女性たちにの間では、ティファニーだけではなくディオールやシャネルといったフランス・ブランド、ブルガリのようなイタリア・ブランド、グラフのようなスイス・ブランドも人気で、ティファニー一択ではないものの、地方都市に住むアメリカ人女性たちには、はやり何といってもティファニーなんですね。
そんなセンチメンタリズムがティファニーの株主たちにあったのかもしれませんが、買収が発表されたにも拘わらず、金額をめぐってはかなりゴタゴタしている様子が、連日の報道から伝わってきました。今回の買収は流れるのではないかといつしか世界中が思い始めた2020年の年末に、ようやく最終的に15.8ビリオンダラー(2兆2,278億円)で買収完了したんですね。
エレベーターホールの上にさりげなく、バスキアがかかっています。ニューヨーク出身の、最高額ストリート・アーティストの一人ですね。
日本ではゾゾタウンの前澤さんがニューヨークのオークションで競り落として話題になりましたが、もちろんLVMHオーナーのバーナード・アーナルトも簡単にバスキアなど購入できるでしょう。何せ、イーロン・マスクと世界一のお金持ちの座を争っているくらいですから。マスクがツイッターで苦戦している時期、一躍世界一に躍り出ましたが、この5月31日再びマスクが返り咲いたそうです。
内装前のティファニーは、濃い色の木とメッキされた金属の色調で統一されていました。それが見て頂ける通り、床も壁も明るい色合いに現代的になっています。改装前に話題だったカフェは2階だそうですので、次回ゆっくり時間のある折に訪ねてご紹介しますね。
滞在したホテルが近かったので、夜ティファニー・フラグのそばを通ったところ、どうやらプライベートなパーティが開かれていたようで、パーティ客たちが、2次会の食事会会場へとエスコートされているところでした。
確かにこの店内で食べ物をお客に出すのは難しいので、場所を変えてということになったんでしょう。食事の場所が5番街をはさんで反対側だったらしく、ロングドレスの女性たちは大変そうでした。ホテルや自宅からティファニーまではリムジンでつけられますが、まさか通りを挟んで向こう側にリムジンで行くわけにもいかないですしね。
さて、いかがでしたか。
6番街のオフィス通りに入ると、ビルの中で遅くまで働いている人たちと、通りで記念撮影をする観光客との見事な対比シーンです。
この真っ赤なアップル像は最近建ったもののようですが、真子さんのご主人小室圭さんの勤める弁護士事務所があるビルの前に設置されています。ニューヨークの弁護士さん、パートナーになる前はその日のうちに帰宅することがほぼないと聞いているので、彼もまだビルの中で働いているんでしょうか。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。