こんにちは、ファッションエディターのAoiです。
世の中には、よく似たブランド名や派生ブランドが多数存在します。混乱しがちなそれぞれの違い、しっかり把握しておきたいですよね。今回はそんなブランド名の中でも、SAINT LAURENT PARIS(サンローランパリ)とYves Saint Laurent(イヴサンローラン)の違いをご紹介します。
■SAINT LAURENT PARISとYves Saint Laurentの違いとは?
SAINT LAURENT PARISとYves Saint Laurent。よく似た名前で混乱してしまいますが、実は同じ企業のブランドです。
Yves Saint Laurentはアパレル事業とコスメ・香水などを扱う美容事業で別々のブランドを持っています。このうちコスメ・香水ラインの名称はYves Saint Laurent Beauteと呼ばれており、「YSL」が縦に重なったおなじみの「カサンドラ」ロゴを配したコスメは世界中の女性の憧れの的です。一方のSAINT LAURENT PARISは、アパレルラインで一時期使われていた名称で、シンプルな英字横書きのロゴマークを採用している点で違いがあります。
アパレルラインがSAINT LAURENT PARISとなったのは2012年。以前メンズファッションラインのディレクターを担当し、ディオール・オムのデザイナーも経験しているエディ・スリマン氏が、メンズ・ウィメンズの全アパレルラインのクリエイティブ・ディレクターに就任したのがきっかけでした。
■偉大なるファッションデザイナーに敬意を表したエディ・スリマン氏
実は、以前のYves Saint Laurent のアパレル部門は2つあり、オーダーメイドであるオートクチュールラインと、プレタポルテ(高級既製服)のラインであるYVES SAINT LAURENT RIVE GAUCHE(イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュ)とに分かれていました。
もともとオートクチュールのメゾンとして誕生したYves Saint Laurentは、長い間、創立者でありトップファッションデザイナーであるイヴ・サンローラン氏がオートクチュールラインを担当していました。エキゾチックでエレガンスなスタイルを確立し、保守的なファッションから多くの女性を解放したイヴ・サンローラン氏でしたが、2002年のコレクションを最後に引退。これによりオートクチュールラインも閉鎖され、プレタポルテラインであるYVES SAINT LAURENT RIVE GAUCHEのみが残る形となりました。
2012年、YVES SAINT LAURENT RIVE GAUCHEのディレクターに就任したエディ・スリマン氏は、それまでの上品で高貴なブランドイメージを、ロックでクールな印象に刷新する大胆な改革に着手します。その取り組みのひとつが、プレタポルテラインの改名です。オリジナルのイメージを自らの個性で上書きするのではなく、SAINT LAURENT PARIS(サンローラン パリ)に改名して明確に歴史を区切った背景には、偉大な創業者へ敬意を示す意図があったのかもしれません。
ブランド名の変更以来、YSLを縦に並べた「カサンドラ」ロゴの登場頻度は激減し、その代わりにSAINT LAURENT PARIS(サンローラン パリ)のシンプルなロゴが多くのアイテムで用いられるようになりました。
■SAINT LAURENT PARISのアイテムでコーディネートにクールなアクセントを
2016年、サンローラン史に鮮烈なインパクトを残したエディ・スリマンに代わり、アンソニー・ヴァカレロがディレクターに就任。以降はカサンドラロゴが復活し、SAINT LAURENT PARISのロゴが入ったアイテムはほとんど見られなくなりました。エディ・スリマン期にサンローランにハマった人にとっては寂しい変化ですが、SAINT LAURENT PARISのロゴはエディ・スリマン期のサンローランを象徴するデザインとして、これからもファンの間で語り継がれていくのではないでしょうか。
2021年にはオリジナルラインの名を冠した新作バッグ「リヴ・ゴーシュ(RIVE GAUCHE)」が登場。新時代のアイコンとして存在感を発揮しています。
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更新日:2023年6月16日
公開日:2016年5月6日