ニューヨークから、マディソンです。5月4日から9月4日まで、メトロポリタン美術館でコムデギャルソンCEO川久保玲さんの展示が行われいてるとあって、早速行ってきました。
月曜日なんですが、混んでいますね。コムデギャルソンの展示は2階だそうです。
階段を上がって左手、ありました。 今回の展示にはメトロポリタン美術館のチーフ・キューレーターであるアンドリュー・ボルトン氏が“間の芸術”と名付けています。生存中のファッションデザイナーによる展示は、1983年に行われたイブサンローラン以来歴代2人目とあって、地元ニューヨークでは一般メディアでも大々的に取り上げられ、世界中からファッションはもとより、あらゆる形のアートに携わる人たちが必見と連日賑わってると報じられています。
川久保玲さんと、アンドリュー・ボルトン氏 (photo : Metropolitan Museum)
川久保玲さんは東京で生まれ、慶應義塾大学で哲学を専攻し、旭化成の広報に就職したものの、やがて自身のブランド“コムデ・ギャルソン(仏語:少年のように)”を立ち上げました。撮影嫌いで知られ、他のファッションデザイナーに比べるとマスメディアに姿を見せる数は極端に少ないものの、インタビューに答えた彼女の言葉には個性的で人々の心に訴えるものが多く、その語禄だけで一冊の本が出来上がることでしょう。
(こぶスタイルと言われたコレクション)(Photo : Metropolitan Museum)
穴あきニットのセーター、その黒い色から“黒の衝撃”と呼ばれたセンセーショナルなパリコレデビューから40年、彼女の服は常に一般的な美の概念や、センスがいいとされるスタイル、ファッショナブルだといわれそうな形に反抗し挑戦し続けてきました。彼女は既にあるものを破壊することで新しい取り組みへの道を指示し、そこに意図がないこと、あえてバランスが整わず未完成に見えることに、強い可能性を示してきたのです。
中央上、黒の衝撃と呼ばれたコレクション (photo : Metropolitan Museum)
“間の芸術”というタイトルにふさわしく、それぞれの展示は、存在する/しない、デザインする/しない、ファッション/ファッションでない、一つの形/複数、高さ/低さ、昔/今、自身/他者などといったテーマに沿って陳列されています。
展示された140体のマネキンは1981年から現在までのコレクションからアンドリュー・ボルトン氏が中心となって、彼女の世界を表現するべくよりすぐられたものばかり。
川久保玲さんの服を着るということは、通常のブランド服を着ることの対局に位置する行為のような気がします。少しでもほっそり見せたい女性がわざわざこぶの付いたドレスを着るわけがありませんし。高額ブランドを身に着けて豊かさを表したいときに、穴の開いたセーターはまず着ませんね。 私たちがブランドの服を身に着けるとき、ブランドの価値の高さに安心して、自身の価値をブランドの価値に重ねていることが多いように思います。ところが彼女は安心させてはくれません。彼女がデザインした服を着るということは反逆者としての宣言であり、決して安定や穏やかな道を選ばない女性としての人間宣言のように思えます。
( Photo: Metropolitan Museum) アンドリュー・ボルトン氏のよれば、そのメッセージの強さから、この40年間の間彼女ほどファッションとアートの関わりに影響を与えた人物はいないそうです。
(Movie: Metropolitan Museum) ところで最後にメトロポリタン美術館から動画もリリースしてもらいました。臨場感いっぱいで、まるで実際に訪れているような感じがしますよ。ではまた次回、ニューヨークでお会いしましょう。