ニューヨークから、マディソンです。
今回のニューヨーク出張では、友人の国際美容ショーのプロジェクトをリーダーとして手伝いました。
毎年3月頭に、ニューヨークのジャビッツセンターという巨大コンベンションセンターで、世界中から6万5千人の美容業界人が集まるIBSインターナショナル大会が催されます。
センターはマンハッタンのウエストサイドなんですが、建物は34丁目あたりから38丁目までの4ブロックくらいを占めているので、会場の中を走り回るだけでも結構大変です。
メイン・ステージのリハーサルにつきあっています。
エドワード・トリコミは伝説的なニューヨークのカリスマ美容師で、ジョニーデップの出世作の”エドワード・シザーハンズ“は、彼がモデルでした。彼のフラグシップサロンは、マンハッタンの5つ星ホテル、プラザホテルの中にあってセレブ御用達です。プラザホテルはトランプタワーに近いので、トランプ一家も頻繁に来ているようです。
彼自身は元々ミュージシャンでもあり、その頃のバンドがビートルズの前座として一緒にツアーに回っていたため、ポール・マッカートニーらとも親しいと聞いています。
向かって右にアシスタントのオリーブ、左がMCのブライアン。まだ朝10時頃で会場は開いたばかりなんですが、人で一杯な様子が背景に見えますね。
シザーハンズの特徴あるヘアカットの切り方だけでなく、世界中のヴォーグの表紙を飾ったヘアメークの経験もあるので、国際大会の母体である業界誌がフェイスブックライブを行いたいとの依頼がありました。70万人もビュアーがいるそうです。凄いですね。
今回はスケジュールが詰まっていて、一日中会場につめていなくてはならないので、会場近くのホテルをとりました。
41丁目と10番街の間にある近未来的ホテルで、19階からの眺めがこれ。上方真ん中に尖っているのがエンパイアステイトです。赤レンガのビルの陰に隠れていますが。初日の夜には、虹色のライトで光っていました。祝日にはアメリカ国旗の赤白青になったり、ゲイの日には紫だったりするんですが、虹色は初めてです。街でも話題になってました。
実はホテルすぐ近くに、ポートオーソリティ駅があります。全米やカナダの各都市につながるバスのターミナルになっている場所なんです。地下鉄に乗ろうとしたところ、面白い場所を横切りました。
いろとりどりカラフルなキャンディのアート。黄色いのはレオナルド・ダビンチとキャンディのコラボでしょうか。
これはフランス人アーティスト、ローレンス・ジェンキルの作品だそうです。彼女はキャンディを使って表現することで有名なんだそうです。
9月11日のテロ攻撃で倒れたツインタワーで、その悲しみと、それでも決して私たちはばらばらにはならない、一つに結ばれている、というメッセージを託した彼女の作品がこれです。2017年に寄贈されました。
こんな風に近くで見ると全部がキャンディの形でできています。確かに、何もかもキャンディでできていると楽しいかもしれません…。
これが本当のアイスキャンディ、という感じでしょうか。なんでも彼女、子供のころにキャンディを食べさせてもらえなかったとのことです。アメリカでもたまにいるんですが、砂糖が健康に良くないとして甘いものを禁止している親がいます。友達が食べているのに自分だけが食べられないと、余計にファンタジーが膨らんで、巨大アートになってしまったのかもしれませんね。
彼女のポップアップアートは、ここニューヨークだけでなく、パリ、マイアミ、香港、シンガポール、ソウル、ドバイ、ジュネーブ、モナコ、ロンドンら世界中の大都市に出現しています。
エレファントもキャンディの包装状に捻じ曲げられています。
ローレンスによると、像は強さの象徴だけれど、そんな強い像でも、現在の動物が生きる状況の窮屈さに捻じ曲げられてしっていることを表現しているそうです。像が生きる環境、自然、それらが破壊され、水源が枯れてきていることに警鐘をならしたかったそうですが、像のお腹がキャンディのように捻じ曲げられていることが、賛否両論を起こし、結果多くの人々の関心を集めることができたと語っていました。
ニューヨークの街はポップアートにあふれています。通りにはたくさんのショップがあって、それらも確かに目を楽しませてくれますが、街のあちこちに出現する、こうしたポップアートがニューヨークの街を歩く人々に問題を投げかけ、ふと足を止めさせ、自分たちが生きている世界を大きな構図でとらえる機会をくれているんだと思います。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。