2017年までCELINE(セリーヌ)のクリエイティブ・ディレクターを務め、抜群のセンスで多くの人々を魅了したフィービー・ファイロ。2023年9月にラグジュアリー界への復帰を果たすことが明らかになりました。ここでは、そんな彼女のカラーが感じられる当時のセリーヌと、エディ・スリマンが手掛ける現在のセリーヌの特徴をそれぞれ紹介します。
■セリーヌの人気を不動のものにした「フィービー・ファイロ期」
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フィービー・ファイロのデザイナーとしてのキャリアは、Chloe(クロエ)からスタートしています。1997年から同ブランドで経験を積み、2001年にクリエイティブ・ディレクターに就任。2006年には子育てのために一時デザイナー職を離れたものの、2008年には復帰し、CELINE(セリーヌ)のクリエイティブ・ディレクターに就任しました。
その後10年間にわたり、セリーヌをけん引してきたフィービー・ファイロ。マダム向けだったブランドイメージを若返らせた前任のマイケル・コースの意向を継ぎ、セリーヌの人気をさらに強固なものにしたのは、彼女の功績と言って間違いないでしょう。
フィービー・ファイロのデザイナーとしての持ち味は、どこかに個性やアクセントを感じるシンプルなデザインの追求。気負いなく普段使いできるミニマルなアイテムの数々は、21世紀を迎えて新たな女性像を探し求めていた女性たちの心をわしづかみにしました。
ファンから熱い支持を得ていたフィービー・ファイロの退任が2017年末に発表された際は、世界中の女性たちに衝撃が走ったといいます。2018年3月に発表された2018年秋冬シーズンが、彼女のラストコレクションとなりました。
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その後は沈黙を貫いていたフィービー・ファイロですが、2023年2月に突如インスタグラムのアカウントを開設し、9月に自身の名を冠したファッションブランド「PHOEBE PHILO」を始動することを発表しました。現在、多くのファンが今後の動向に注目しています。
フィービー・ファイロがクリエイティブ・ディレクター就任中に手がけた人気シリーズは、「ラゲージ」「ベルトバッグ」「カバ」など。ここでは、それぞれの特徴や魅力を簡単に紹介しましょう。
「セリーヌといえばこれ!」というイメージの強い名品バッグ。スクエア型のボディにウェービーな模様をあしらったデザインが目を惹きます。デザイン性だけでなく、収納力の高さやカラー・サイズ展開の豊富さも魅力で、多くの著名人が愛用していることでも有名です。
上品でシンプルなデザインながら、長く伸びた2本のレザーベルトに遊び心を感じるバッグ。手触りのいい、上質で柔らかなレザーを使用しています。きちんとした印象と抜け感の絶妙なバランスがオシャレな、大人の女性にふさわしい一品です。
カバはシンプルなシルエットが特徴のトートバッグシリーズ。軽くて収納力があり、働く女性や子育て中の女性から絶大な支持を集めています。デザインやカラー、使われている素材は多種多様で、同じカバシリーズでもまったく違う表情を見せるバッグが揃います。
■異端デザイナーがセリーヌに新しい風を吹き込む「エディ・スリマン期」
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フィービー・ファイロに代わってセリーヌのクリエイティブ・ディレクターに就任したのは、かつてDIOR(ディオール)のメンズ部門やSaint Laurent(サンローラン)でクリエイティブ・ディレクターを務めたエディ・スリマン。ファッション界では“異端の大物”として知られる人物です。
エディ・スリマンのスタイルは、「少年性」や「ロック」をテーマとした独特なもの。それまでのセリーヌとは大きく方向性が異なったため、世間では、彼のクリエイティブ・ディレクター就任は意外なものとして受け取られたようです。
エディ・スリマンは、従来の世界観に彼らしいテイストをミックスするかたちでブランドを刷新しました。レディース一辺倒のところにメンズラインを設けたり、初期から変わらなかったロゴを刷新したりと、マーケティング面でも新しい風を吹き込んでいます。
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こうして新たなブランドに生まれ変わったセリーヌ。就任当初はエディ・スリマンのテイストに違和感を覚え、フィービー・ファイロ期を懐かしむファンも少なくありませんでしたが、現在はファン層を大きく拡大し、いっそう愛されるブランドへと成長しています。
エディ・スリマンによる新生セリーヌを代表する作品が「トリオンフ」ライン。フランス語で「凱旋」を意味するトリオンフは、パリにある凱旋門を囲むチェーンから着想を得て作られた、セリーヌの伝統的なモチーフです。エディ・スリマンは、それまで多用されていなかったこのモチーフに着目。大きくフィーチャーし、バッグや財布などさまざまなアイテムに取り入れました。
ジャガード生地にもメタルクロージャ―にもトリオンフモチーフをあしらったショルダーバッグ。一目でセリーヌ!とわかるキャッチーなルックスはエディ・スリマンのデザインならでは。
春夏大活躍のかごバッグにもトリオンフモチーフをオン。大きめのサイズ感とナチュラルな風合いがリゾートコーデにマッチします。
艶のあるレザーの表面にぷっくりとしたシルエットでトリオンフモチーフを表現したショルダーバッグ。モードな印象で普段のコーデを引き締めてくれます。
トリオンフの総柄は今や女性の憧れの的! バケットバッグはマチが広く収納力にも優れています。
■今後もセリーヌの進化から目が離せない!
フィービー・ファイロ期のセリーヌは現在も根強く支持されていますが、オリジナルのテイストを巧みにミックスしながらファン層を拡大したエディ・スリマン期のセリーヌも、それまでとは異なる魅力で多くの人々の関心を集めています。ここからのセリーヌがどう進化していくのかは未知数。今後の展開にぜひ注目してみてくださいね♪