DIOR(ディオール)とFENDI(フェンディ)はどちらも多くの人気を集めるラグジュアリーブランド。その2つのブランドでデザイナーを務めているのがキム・ジョーンズです。過去にはdunhill(ダンヒル) やLouis VUITTON(ルイ・ヴィトン)のデザイナーも務めるなど、輝かしい経歴を持つ彼の歴史や活躍について解説します。
Original Update by Instagram
現在42歳(2022年3月時点)のキム・ジョーンズは名だたる一流ブランドで活躍する世界屈指のファッションデザイナーです。
□各地を転々とした幼少期
1979年、イングランド西部のバースで生まれたキム・ジョーンズ。水文地質学者である父の仕事の都合で幼少期は南米やアフリカの国々を転々としていました。思春期にはイギリスで姉と暮らし、スケートシーン、クラブカルチャー、ファッションマガジンなどに触れ、徐々にファッションへと傾倒していきます。ラグジュアリー×ストリートカルチャーの融合を見事にこなすキム・ジョーンズの源流はこの時期の経験から生まれたものかもしれません。
□本格的にファッションの道へ
その後ジョーンズは、ロンドン芸術大学付属のキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツへ入学。写真やグラフィックなど芸術についての知見を深めていきました。すると在学中に、アートとデザインの名門セントラル・セント・マーチンズのディレクターの目に留まり、ファッションコースの入学受験を勧められます。これが、ジョーンズがファッションデザイナーへと進む転機となりました。
セントラル・セント・マーチンズに入学後は、在学中に学外でデザイナーとして働くなど徐々にその才能を開花させていきます。大学の卒業コレクションショーでは、発表した作品のほとんどを有名デザイナーのジョン・ガリアーノが購入するほどの成長を遂げました。
□大学卒業後も才能を発揮し続けるキム・ジョーンズ
大学卒業後は、自身の名前を冠したブランド「KIM JONES」を立ち上げロンドンコレクションデビュー。数々の有名ブランドとのコラボレーションも行うなど精力的にブランドでの活動を行います。またこの頃には、映画製作や写真集の出版などデザイナーという分野を超えてアーティストとしても活躍を見せ始めました。
2008年にはDunhill(ダンヒル)のクリエイティブ・ディレクターに就任。この頃のダンヒルは、「シンプルで上品、格式が高い」というイメージが強く、高い年齢層からの支持が厚いブランドでした。しかし、ジョーンズはモダンなテイストを取り入れることでブランドのイメージを一新。若者の認知度を高めるきっかけを作ったことで、ファッション業界からも高い評価を得ました。
Original Update by Instagram
ダンヒルのデザイナー退任後の2011年、ジョーンズはLOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)のメンズ部門のデザインディレクターに就任します。ジョーンズが得意とするハイブランド×ストリートを取り入れ、新しいルイ・ヴィトンのイメージを作り出しました。また、AMBUSH(アンブッシュ)、Fragment Design(フラグメントデザイン)、Supreme(シュプリーム)など、今までのルイ・ヴィトンでは考えられなかった異例のコラボレーションを行ったことでも大きな話題を呼びました。
ジョーンズがルイ・ヴィトンで行った数々の試みは、ハイブランドのストリート化に大きく影響を与えたといっても過言ではないでしょう。
Original Update by Instagram
2019年、ジョーンズはDior homme(ディオールオム)のアーティスティック・ディレクターに就任すると、すぐにメンズとウィメンズの垣根を排除しDIOR(ディオール)へとブランドを統一します。これによって、今までは女性を中心に人気が高かったオブリーク柄やサドルバッグが、メンズルックでも取り入れられるなど大きな話題を巻き起こすことに。
また、キム・ジョーンズのハイブランド×ストリートデザインやコラボレーションはディオールでも炸裂。有名ストリートブランドのStussy(ステューシー)やNIKE(ナイキ)のジョーダンブランドとのコラボを発表。ハイブランド業界はもちろん、ストリート・スニーカー業界にも大きな衝撃を与えました。
現在のディオールは、今までのクラシックなデザインの中にポップな要素を取り入れたものも多く、さまざまな分野のファッショニスタを魅了しています。
Original Update by Instagram
ディオールで活躍を続けるジョーンズですが、2020年にはFENDI(フェンディ)のアーティスティック・ディレクターも兼務するというニュースでファッション業界を驚かせました。フェンディのデザイナーといえば、カール・ラガーフェルドを除いてフェンディ一族の女性たちが務めてきたことでも有名です。カールがフェンディのデザイナーとなったのは1965年なので、ジョーンズの就任は実に55年ぶりの大抜擢! デビューとなった21年秋冬コレクションでは、フェンディ家の5姉妹のワードローブから着想を得たルックを発表。伝統とモダンを融合させたコレクションからは、キム・ジョーンズの新しい一面が垣間見えます。
ディオールとの兼任でデザイナーを務めるジョーンズが、フェンディでどのようなディレクションをしていくのか楽しみですね!
数々の人気ラグジュアリーブランドを渡り歩き、大きなインパクトを残してきたキム・ジョーンズ。現在はディオールとフェンディを兼任しているジョーンズが、今後どのような話題と驚きを提供してくれるのか目が離せません!