大切にしたいブランドバッグなどの革製品。ですが、使用しているうちに革のひび割れや汚れが気になったり、しまい込んでいて「いざ使おう」と取り出したら、ボロボロになってしまっていたり……なんてことありませんか?
今回は、革製品修復の職人である「二子玉川 美靴工房」の保科美幸さん直伝、革製品の正しいお手入れ方法や収納方法をご紹介します。家にあるもので簡単にできるレザーケアや、ケアの頻度など。意外と気軽にできるお手入れで、お気に入りのアイテムを長く楽しみましょう。
【基本のレザーケア】自宅でできる革製品の簡単お手入れ
まずは、基本のレザーケアの方法をご紹介します。日常のお手入れがものを言う革製品。日頃からクリームで保湿をし、革の日焼けや乾燥を防ぎましょう。
自宅にあるもので簡単にできるので、初めてレザーケアに挑戦する方も安心。ぜひチェックしてみてください!
■用意するもの
・ハンドクリーム
・コットン
・洗剤液(1リットルの水に中性洗剤を1,2滴)
・ストッキング
どれも皆さんお手持ちのアイテムではないでしょうか。
クリームはレザー専用のものもありますが、普段使用しているor使わなくなったハンドクリームでも十分役割を果たしてくれます。市販のもの、香り付きでもOK。手に伸ばした際にすっと馴染むような、伸びの良いクリームがおすすめです。
※色がついているハンドクリームは使用しないようにしましょう。
コットンと洗剤液は汚れを落とす際に使用します。コットンはやわらかいので革が傷つきにくく、繊維が汚れを絡め取ってくれますよ。洗剤液はよく混ぜて薄めてくださいね。
ストッキングは革製品に活用できるアイテム。電線してしまったものを取っておくと良いですよ。
Step1.コットンで汚れを落とす
【やり方】
1.4枚重ねたコットンに洗剤液を少しつけ、水気が出なくなるまでかたく絞る
2.コットンを広げ、革製品の表面をやさしく拭き取る
革製品は肌と同じ。まずはこの段階でやさしくクレンジング・洗顔をするように、ゴシゴシ擦らずなでるように拭き取りましょう。特にバッグのハンドル部分は、手に残った日焼け止めや化粧品が付いてベタつきやすいため、汚れ落としを念入りに。
【注意点】
洗剤液を付けたコットンをかたく絞ったとはいえ、水分に向かないレザー素材も。お手入れを始める前に、バッグの外から見えない部分で試し拭きをしてみましょう。シミにならなければ洗剤液でのお手入れOKです。
もしシミになってしまった場合には、洗剤液にはつけずにコットンで乾拭きするだけでも汚れを絡め取ってくれますよ。
Step2.ハンドクリームで保湿
【やり方】
1.ハンドクリームを少量手に取り、指先に馴染ませる
2.傷んでいるバッグのコーナー部分を中心に、なでるように保湿する
3.クリームを手のひら全体に馴染ませ、バッグの表面全体をなでて保湿
洗顔まで終わったら続いては保湿。ハンドクリームを革製品に馴染ませていきます。この際もハンドクリームでシミになってしまわないか、見えない部分でテストしてから行うようにしましょう。
クリームを塗るタイミングは、洗濯液が完全に乾いてからではなく、汚れを拭いた後すぐ。
擦れて傷みやすいバッグのコーナー部分や、よく動くバッグの開口部やマチの部分は念入りに。クリームで保湿することで傷みが落ち着き、傷んでいない部分と同じような色に変化していきます。
【注意点】
バッグのハンドル部分は手で握って皮脂が付く部分になるので、クリームで油分を与える必要はなし!根元の部分だけにクリームを馴染ませるようにしましょう。
Step3.ストッキングで余分なクリームを除去
【やり方】
バッグの表面をストッキングで軽くなで、余分なクリームを拭き取る
仕上げにストッキングで余計な油分を拭き取っていきましょう。ストッキングには革製品のツヤ出しをしてくれる効果もありますよ。
お手入れBefore/After
以上で日常のレザーケアが完了です。革のコンディションを長く保つ最も重要な秘訣が保湿。保湿をするだけでかなり傷が目立たなくなり、ツヤが出ます。
使っていない革製品ほど、乾燥や湿気で傷みやすいため、一度出してお手入れをすると◎お手入れをする目安の頻度は3か月に1回です。簡単なお手入れでレザーバッグのコンディションを保ち、ぜひ綺麗な状態でお出かけしましょう!
【革製品のプレケア】買ったときにしておくべきお手入れ
新しいバッグを購入したら、使用する前に、褪色や傷を防ぐ“プレケア”を行っておくのがおすすめ。簡単ひと手間で、新品の綺麗な状態を少しでも長く保ちませんか?
自宅で簡単!セルフでできるプレケア方法
やり方は日常ケアと同様ハンドクリームでの保湿。新しいバッグなので、必ず見えない部分でシミにならないかを確認したのち、プレケアを行っていきましょう。
特に傷みやすいハンドル、バッグの四隅、バッグの開け口付近を中心に、ハンドクリームを馴染ませた手でやさしくなでて保湿をします。気になる方は残ったクリームで表面も保湿してあげてくださいね。
また、畳まれているマチなどの部分は、ホコリがたまりやすかったり、乾燥して革が割れてきやすかったりする部分。動かすことが多い箇所、逆に固定されてしまっている箇所は、使用前に念入りに保湿しておきましょう。
プロにコーティングを頼むのもおすすめ!
バッグの綺麗な状態を保つため、プロに頼んでコーティングをしてもらうのもおすすめです。革がベールに包まれるようなイメージで、見た目や触り心地の変化はなくコーティングをしてもらうことができます。
傷みを防ぐほか、防水や撥水の効果も。ホワイトやピンク、ベージュなどの淡いカラーのバッグに特におすすめで、よくありがちなデニムの色移りなどといったトラブルも防いでくれますよ。
【バッグの正しい保管方法】革製品が傷みにくい収納術
最後に革製品の正しい保管方法をご紹介。保科さんによると、実はバッグが傷んでしまった原因で一番多いのが、間違った収納方法により革製品の劣化が進んだことだそう。
ベタつきの原因は湿気が多い日本の気候?
ただしまっていただけなのに、バッグの内側やハンドルがベタついているなんてことありませんか?
レザーバッグは革と革をのりで貼り合わせたり、縫った周りが接着剤で固定されたりして作られています。これが、しまいっぱなしによる湿気でにじみ出てしまっているのがベタつきや黄ばみの原因。
さらに、ハンドルやショルダー本体に倒して収納していると全体がベタつき、ハンドルを本体から無理やり剥がそうとすると、革が剥がれてしまうことも。
ここ数年で気温・湿度が上昇してきている日本。購入したときの袋や箱に入れてしまい込む……なんていう昔の収納方法のままではNGです!保管方法を現代に合わせて見直しましょう。
革製品の保管は通気性を良くすることがポイント
一番大切なのが通気性を良くすること。バッグを購入した際についてくるネル袋は、傷がつくのを防いではくれますが、通気性があまりよくないのが事実……。
そこでおすすめしたいのが、不織布の包みに入れての保管。マスクと同じような素材で通気性が良いのが特徴です。不織布がない場合はネル袋にバッグを入れても良いですが、必ず袋の口を開けて通気性を良くしましょう。
不織布は、バッグを並べて保管した際の色移りを防ぐのにも効果的◎バッグとバッグの間に挟んだり包んでから並べたりすることで、バッグ同士が触れずに、通気性の良さも保つことができます。
また、バッグをたくさんお持ちで箱に入れて積み上げている方は、箱のふたを外し、交互に重ねると通気性が良くなります。
大切なものだからこそ、しっかりと包みしまい込みがちですが、湿気でバッグが傷まないようにするためにも、ぜひ通気性に気を付けてみてくださいね。
ショルダーやハンドルの跡を防ぐにはストッキング!?
皆さんは、長いショルダーをバッグに巻き付けたり、ハンドバッグやトートバッグのハンドルを本体に倒したりして保管していませんか?
実はその保管の仕方は要注意!ショルダーやハンドル、特にチェーンのショルダーは丈夫で重いため、本体に跡が残ってしまい、一度つくと取れなくなってしまいます。
そこで、ショルダーやハンドルが本体に触れないようにするために活躍するのがストッキングです。
ショルダーをまとめ、ストッキングを巻き付けます。ストッキングはやわらかいので革を傷つける心配もなし!
さらに、ショルダーが重いものは、バッグを寝かして保管するのがおすすめ。やわらかいレザーバッグを立てた場合、ショルダーの重みでバッグにたわみが出てシワがついてしまいます。
ショルダーを取り外せるものは、外してバッグの中に入れて収納するのも良いですよ。
ハンドルの場合もショルダーと同様にストッキングを巻き付けて、本体に触れるのを防ぐことができます。
収納する際、高さに余裕がある場合は2本のハンドルをまとめてストッキングを巻き付けて立てると◎ハンドルを倒して保管する場合は、1本ずつストッキングを巻き付けて本体に触れないようにしましょう。
詰め物を入れて保管してバッグのシワを防止!
バッグがくたっとしていると折れるなどしてシワの原因に。白い紙をバッグの形に合わせて丸め、バッグに詰めて保管しましょう。そうすることでテンションが張り、シワを防ぐことができますよ。
新聞紙などを使用しても良いですが、インクが色移りしてしまう危険性も。新聞紙の場合でも周りに白い紙を巻いてから詰めることをおすすめします。
そして、年に一度でも良いので、詰め物を新しいものに変えることできれいな状態を長く保つことができますよ。
バッグを吊るして収納する場合の跡が付かない方法
ショルダーバッグなどはハンガーに吊るしてクローゼットにかけている方もいらっしゃるのでは?そこでありがちなトラブルが、ショルダーやハンドルに吊るした跡が残ってしまうこと。
そこで活躍するのがガムテープの芯と、再びストッキングです。
ハンガーやフックにショルダーを直接かけず、何かを挟むことで、一箇所に力がかからず分散され、跡が付きにくくなります。
ストッキングやガムテープの芯など、家にあるものを使用したちょっとした工夫が、バッグを傷めにくい保管方法に繋がります。誤った保管でバッグを使っていないのに傷んでしまってはもったいない!ぜひ皆さんもいますぐ保管方法を見直してみてはいかがでしょうか。
簡単お手入れ&正しい収納方法で革製品を長く楽しんで!
今回は、革製品修復の職人 保科美幸さんのご指導の下、革製品の正しいお手入れ方法や収納方法をご紹介しました。どちらも自宅にあるもので簡単に行うことができるため、難しそうと感じていた方も、レザーケアへの敷居が下がったのではないでしょうか。
日常ケアでは保湿、収納では通気性が大事。ぜひこの記事でポイントを押さえて、大切なアイテムをきれいな状態で長く楽しんでくださいね!
AXES channelの動画でもお手入れ方法と保管方法をチェック!
▼革製品のお手入れ方法はこちら
▼バッグの正しい保管方法はこちら
▼保科美幸さんとは?
美靴工房 テクニカルディレクター
エルメスやシャネル、グッチなどの高級ブランドの革製品を修復する修繕職人
今までに手掛けてきた商品は数万点以上
海外からもオファーが殺到するブランド修理のカリスマ
Instagram ⇒ https://www.instagram.com/miyuki830/
▼二子玉川 美靴工房とは?
靴やバッグなどの革製品の修理工房
お客様とその⾰製品が歩んできた物語りに寄り添い、
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