宮本佳実さんは、自分の生きたい生き方に仕事を合わせていくのがスタイル。そんな新しい生き方と働き方を提案している著書『大丈夫、あなたは「好き」を仕事にできるから。』(大和書房)など、他7冊を出版しています。さらに2018年12月にも新刊も予定中とのこと。
宮本さんに仕事観、大事にしていること、そしてファッションについて伺いました。
──以前はどのようなお仕事をしていたのですか?
高校を卒業後、アパレル販売員、一般企業で人事・受付、司会者などを経験して、28歳のとき「自分の好きなファッションを仕事にしたい!」と思い、個人の方に向けて服を選んで差しあげる、というパーソナルスタイリストをはじめました。
──それから今の仕事に変わったキッカケは?
「好き」な仕事をビジネスとして続けるには集客しないといけません。集客のことを考えていると、ものすごく夢中になっていて・・・気づけばそれまでファッション雑誌をいっぱい買っていたのに、ビジネス書ばかり買うようになっていたんです。ビジネスや集客のことを考えるのがすごく楽しくて。それで方向転換することにしました。
──やはり、好きな仕事をするのが大切、ということですね。
自分が心地良い、と思う仕事はパーソナルスタイリストだと思って始めたんですが、『ちょっと違うかな』という想いが出てきたんですね。でも、『好きで始めた仕事。好きなはずだ』と自分に言い聞かせていました。そのうち自分の気持ちに誤魔化しがきかなくなって、『だったら、今、好きなことをやろう!』と考えて、変えていったんです。
──宮本さんの一日はゆるい感じなのだとか。
もう、ゆるすぎて溶けそう(笑)、起きたい時間に起きて、メールをチェックしたり、スタッフに指示を出したり。決定しないといけないことを携帯かPCで処理して。後は書籍の執筆をしているか、ブログを書く・・・というのが日常の1日の仕事です。
──それでも怠けているわけではなく、日本全国はもちろん2か月に一度は海外まで飛び回るフットワークの持ち主ですよね。
私は「好きなことを、好きなときに、好きな場所で、好きなだけ」ということをコンセプトにしていて、自分自身も大切にしています。でもそこには「責任は自分で取る」という覚悟があってのことです。
よく、「好きなことをして本当に上手くいくんですか?」と聞かれるんですが、そんなの実はわからないんですよね(笑)。でも、好きなことをすると自然とエネルギーが出て頑張れるし、努力が努力じゃなくなる。好きなことなら責任を取る覚悟もできる。そんな気持ちで「好き」を選んでいくと人生は好転していくじゃないかなと思います。
──宮本さんの考え方がよくかります。
私は自由でいたいから、たくさん情報を知りたいし、勉強もしたい。たくさんの選択肢を持っていたいんです。「自由にできない」と思っている人は選択肢がないと思っているだけのことが多かったりします。「ここで働くしかない」「ここに住むしかない」って。けれど、本当は世界中に選択肢があるし、自分の可能性って無限大なんです。
自分がどうしたいのか、がわからない人は、自分が「どうしたいのか」という素直な気持ちを考えるところから始めるといいかなと、思います。暗闇にいるからモンモンする。道筋が決まれば一歩ずつ進んでいけます。
──女性にとってファッションとは?
洋服は第一印象を左右できるアイテムです。男性がビシッとしたスーツを着ると『この人は仕事ができそう』と思われちゃうじゃないですか。だから、どういう自分になりたい、ということから考えて洋服を決めていくのもひとつの方法だと思います。
──自分を中心に考えるのがいいのでしょうか、それとも他人の意見を聞くのがいい?
人は自分のことを客観視できないので、どんなのが似合うかは人に聞いた方がいいと思うんです。でも、人は基本的に良くも悪くも、他人に対して無責任なもの。アドバイスを鵜呑みにするのではなくて、ヒントとして捉えることが大事です。ファッションに正解はありません。アドバイスは全部、ヒント。ヒントを集めながら自分の世界を作るのが重要だと思います。
──なるほど。
大事なのは、「自分で答えを決める」ことです。答えを求めようとすると「正解」を集めよう、集めようとしてしまいます。でも、情報はヒントにしか過ぎないので、自分の正解は自分にしかわかりません。
自分にとって何が心地よくて、何が好きで、何が楽しいかの基準を持っていれば、ヒントのなかから「私だけの正解」を選ぶことができます。日頃から自分の基準を持っていると、人生で大きな選択をするときにも決断することができるようになります。「好き」を持つことは、「自分」を持つこと。「猫が好き」とか「珈琲が好き」。
なんでもかまいません。一度、「私は何が好きなんだろう?」と自分を棚卸してみるのもいいかもしれませんね。
──好きなブランドは?
HERMES(エルメス)です。好きな理由は「ストーリー」があるから。
どのブランドにも言えることですが、商品に対する手間のかけ方や、働いている人のブランドへの思い、流行を発信するエネルギーに対して尊敬の念を抱きます。
──とてもわかります。
あと「質」。安価なものもステキだし、良いものはたくさんあります。でも、大量生産で作られたものと職人がひとつひとつ手で生み出すものとはやっぱりその「物」の持つエネルギーが違うのかなと、最近感じるんです。
どちらが良い悪いではもちろんなく、物にもエネルギーがあるから、少なからずそのエネルギーに自分が影響を受ける。と考えると、「値段が安いから、高いから」と言う基準ではなく、自分が持っていてウキッとするものや、ワクワクするものをひとつやふたつでも自分のお気に入りのもので、ずっと大事にしたいものを置いて、自分の場所を作るのが好きなんです。
──大切な逸品は?
お気に入りの逸品は、HERMES(エルメス)のバッグ「Kelly(ケリー)」。1年くらい前に購入しました。自分にはまだ、早いと思っていて、実は欲しいものリストにも入れていなかったんです。そんなとき、目にしたのがこのバッグ。「買っちゃえ!」と思って勢いで購入しました。
──持ち手(ハンドル)にHERMES(エルメス)のスカーフを巻いているのもいいですね。
バッグに見合う自分になるために頑張って買う! というのは昔からやっています。バッグは毎日持つものだから、その「物」のエネルギーを借りて、自分自身もステージアップしちゃおうという昔からの私のジンクスです。HERMES(エルメス)のバッグを買うときはやはり、ドキドキします。でも、そのドキドキが違う世界に連れていってくれるのが好きなんです。
──ありがとうございました。
ふんわりした雰囲気と笑顔が魅力的な宮本さん。芯の通った話し方には、新たな“ワークライフスタイル”について強い想いを感じました。何が好きで、何が楽しいか、しっかりと基準を持ち、シンプルに考えて生きていくこと。仕事だけではなく、プライベートでも人生を楽しむヒントになりそうです。
宮本佳実
作家・ワークライフスタイリスト。1981年生まれ、愛知県出身。高校卒業後、アパレル販売員、一般企業、司会者を経て、28歳でパーソナルスタイリストして起業。名古屋で「女性のためのスタイリングサロンビューティリア」をオープンさせる。サロンはブログのみのブランディング集客で全国各地からお客様が訪れるサロンに成長。その経験から多くの人に「好きなことで起業する楽しさ」を伝えたいとコンサルティング活動を開始。現在はサロンを組織化し、自身はワークライフスタイリストとして女性の新しい働き方・生き方(=ワークライフスタイル)を提案。書籍やSNS、セミナーや講演を通して、考え方やスタイルを発信している。著書は『可愛いままで年収1,000万円』など多数刊行している。
・公式ホームページ
http://yoshimimiyamoto.com
・インスタグラム
https://www.instagram.com/yoshimi_miyamoto722/
インタビュー/大橋博之