こんにちは、吉田タイスケです。コロナ禍によるフランスの外出禁止令は5月11日から解除されることになりました。店舗や文化施設の営業などは各地方によってバラつきがあるようですが、収束に向けて一歩前進です。また、今までは県を跨いでの移動には厳しかったのですが、5月11日以降100km圏内の移動は許可されることに。国境を越えての旅行等はまだ先だと思いますが、ひとまず自分が今住んでいるところから、パリやノルマンディー地方の海辺に行けると思うとちょっと嬉しいです。
というわけで、この原稿を書いている現在、フランスは未だ外出禁止令中。すでに50日が経過し、このだらけた、、じゃない居心地のいいひきこもり生活から真人間に戻れるかどうか、そっちの方が心配です(笑)。写真はライトアップされたサグラダファミリア教会。今回はコロナ禍以前に撮影で訪れた、スペインはバルセロナからお届けします。
バルセロナでの撮影はJALの機内誌のために、現地で活躍する日本人アーティスト、ヨシ・シスレーさんに密着撮影というものでした。ホテルのルーフトップで製作中のヨシさん。
Yoshi Sisley
https://yoshisislay.com/
これはまだ製作途中の段階ですが、プールサイドなので、空を海に見立てて自由に動く生物たちを描いたそうです。油性マジックペンのみを使って、下書きは一切なし(!)。
こちらは別の面です。だんだん仕上がってきました。右側のイカとか、細かいところが可愛いんです。
よく見ると、一匹のイカはバナナを刺しています(笑)。
もうひとつ作品をご紹介。バルセロナ市内のホテルVINCCI BIT、7階の壁一面をキャンバスにヨシさんの世界が描かれています。
HOTEL VINCCI BIT
https://www.vinccibit.com/
部屋番号もこの通り、魚だったり。
壁の下を、クラッカーみたいな兵隊が歩いていたり。
森の動物(?)が温泉に入っていたり。絵の中のキャラクターは皆生き生きしていて、見ているこちらも楽しくなってきます。
本当に窓の隙間から、何かが顔を出すような気がしてくるんです。そんな「もうひとつの世界」を身近に感じられる自由さが、作品の魅力です。
バルセロナではインスピレーションの源泉も訪ねました。こちらは20世紀初頭に建てられたカタルーニャ音楽堂。見事なアールヌーヴォー様式は、世界遺産にも登録されています。
チケットカウンターでしょうか。明るく、単純化されたモザイクのデザインは、今見ても色褪せません。
音楽堂内部のステンドグラス。ヨシさんの作品にも通じるような気がします。
続いて案内してもらったのは、ちょっと隠れた場所にある青空天井の中庭バー。ランプが吊るされた樹は、絵本の頁を見るようですね。どこも今はコロナウィルスの影響で、休業しているのが残念です。
ANTIC TEATRE
夜の街角。パリには「歩行者天国内の広々としたテラス席」みたいなものがあまりないので、こういう光景を見るとスペインらしいなと思います。
一夜明けて、こちらはバルセロナの歩道。よく見ると花がモチーフになっています。自然がいつでも、創作の原点ですね。
もう一軒、ヨシさんの作品が飾られているカクテルバーで、食事がリピートしたくなるくらい美味しかったのでご紹介します←メインがそっちか。
DRY MARTINI
毎日食べたいタパス。フランスにもタパス文化は浸透し初めていますが、あらゆる面で本場には到底敵いません。
鯛のセビーチェ。カバを飲みながら、どうぞ!
ここで作品をもう一点。ヨシさんがフランク・ミューラーから依頼されて2016年に製作したカレンダー。その中から4月の一枚です。
さて、作品とバルセロナ市内を行ったり来たりしましたが、最後に最初に戻って、サグラダファミリア教会の内部をご紹介します。
太陽光がステンドグラスを通して内部に反射すると、まるで宇宙船か万華鏡の中を覗くような気持ちになります。
この柱も宇宙っぽいですね(イメージ)。芸術の町、バルセロナからお届けしました。アートの役割のひとつは、世界に意味を与えること。このコロナ禍の世界でも、例えばデフォルメされた作品の中の自然を通して、普段何気なく見ている草花の美しさに気がついたり、または日常の中での視点を少しずらすと、普段と全く違う自由な価値観があるとわかったり。自分が見ていなかった世界の扉を開けてくれることが、アートの力のひとつだと思います。
世界中で自粛が続く毎日ですが、このブログがその一助となれたら幸いです。次回は外出禁止が解除されたフランスから。パリ、もしくは5月の海辺からお届けします。どうぞお楽しみに。