こんにちは、吉田タイスケです。カフェやレストランも再オープンし、活気を取り戻しつつあるパリから。今回はモンマルトルの麓、シャネルで働くパリジェンヌのアパートを訪問します。
招いてくれたのはシャネルに12年勤め、現在は人材育成等を担当するステファニー。さっそく通勤をテーマに1ルック着てもらいました。普段からカジュアルと高級感のあるアイテムをよく組み合わせています。TシャツはMaison Labiche、スカートはシャネル。
バッグもシャネル、珍しいモチーフのマトラッセ。
足元はシャネル伝統、バイカラーのパンプスが石畳によく似合っています。
そしてドアを開けるとすぐに迎えてくれたのは、グレーの毛並みに黄色い目が印象的な猫のプロスペール。こんにちは。
窓辺にはもう一匹、キジトラ猫のパフェ。我が家も猫飼いなので、思わずキャットタワーについて聞いてしまいました。こちらでは、なかなかオシャレなものがないキャットタワー(わかる)。ステファニーは「キャットタワー、デザイン」で検索して、かなり時間をかけて探したそうです(わかりすぎる)。でもブランド名は忘れてしまったとか、、。えー、それが聞きたかった!少なくともシャネルではありませんが。
「このテラスが気に入って、ここに住むことに決めたの。カラフルな壁はイヴ・サンローランのマジョレル庭園をモチーフに塗り替えたわ」
中庭に面した静かな一角がステファニーお気に入りの場所。パリの花屋や旅先、あちこちで見つけた観葉植物を高さもランダムに置いています。小さいとは言えモンマルトルの中心部でこんなテラスがあるなんて、貴重なアパルトマンです。解放感があって周りの喧騒も遠く、ここにいるとパリではない場所に来たような気がしてきます。
アパートは日本式にいうところの2DK、地上階で陽当たりに恵まれているわけではないので、台所とサロンの壁を取り払い開放的なスペースにしています。
そして壁の仕切りだった金属を、そのまま本棚として利用。ユニークな本棚ができあがりました。
「HARUKI MURAKAMIも好きな作家よ」
本が好きというステファニー。部屋の奥にあるスペースも、よく見ると本棚なき本棚なんです。棚はなくて、本が積み重なって棚になっています。出っ張っている部分も本!取り出したり戻したりに、ちょっとしたコツが必要そうですね。
好きな本として、Gilles SchlesserのSaga Parisienneを紹介してくれました。ちょっと引き出せないので、このままですいません。パリに暮らすある家族の三代に渡る物語。同時にパリの歴史にもなっているそうです。
チェストの上もモードでまとまっています。照明はアールーヌーヴォーを思わせる優美なティファニータイプ。
キッチンの棚にも、ティファニータイプのステンドグラスライト。
キャットタワーだけではなく、猫ベッドもデザイン優先。ちなみに我が家の猫ベッドは、その前に飼っていた犬のおさがりベッドです。
キッチンの壁にはたくさんの額。正面の鳥は自身が40歳の時に、友人のアーティストからプレゼントされたもの。他には旅行の際に買い求めたものや、シャネルno,5誕生100周年記念のイラストだったり、好きなアールヌーヴォーもあり、デコもあり、ステファニーを構成するエピソードが並んでるという印象でした。
モノトーンな浴室はココ・シャネルからのインスピレーション。
「ココ・シャネル以前、黒はお葬式や教会の人々を連想させる色だったわ。それを彼女がブラック・リトル・ドレスでそれをモードに変えた。黒はシャネルが大切にしている『既成概念に囚われない自由』の象徴なのよ」
「アクセサリーは自分を表現するものだと思う。ピアスは少し長めでエレガントに見えるものが好き。横顔を綺麗に見せてくれると思うから」
ディナーに出かけるというシチュエーションで、もう1ルック着てもらいました。
テーマは「ロック」。
「年齢を重ねるごとに、黒を着こなさせるようになってきたと思う」
ジャケット、イヤリング、ベルト、靴はそれぞれシャネル。
バイカラーのショートブーツがロック&エレガンスです。
個人的にシャネルはフェミニンなイメージが強かったのですが、ステファニーさんにお会いして大人の女性の自由・解放=ロックな要素も多く含んでいるんだなと改めて気がつきました。どこまでもかっこいいステファニーさん、ありがとうございました。次回の更新もどうぞお楽しみに。
Coordination:Tomoko YOKOSHIMA