こんにちは、吉田タイスケです。野草の平原から遥か遠くに望むのは孤島の修道院、モン・サン・ミッシェル。その昔、中世にはローマやエルサレムに次ぐ一大巡礼地として栄えていました。今回はファッションスナップから一転、フランスの聖なるテーマパーク、じゃない奇跡の世界遺産であるモン・サン・ミッシェルへ、島歩きをご一緒に。
現在は2014年に完成した橋が、島への唯一のアクセスとなっています。橋は全長760m、シャトルバスからは島の手前400mのところで降ろされてしまいます。あとは歩けと。この「歩く」ことが大事で、この橋を設計したディトマール・ファイヒティンガー氏が「橋を渡るという行為にかかる時間は、必要不可欠なものだ」と言っているように、この橋は「俗」から「聖」へと渡る参道なんです。
島の足元から。尖塔の上に輝くフランスの守護天使、サンミッシェル像はその重さが820kgもあるそうです(この写真では小さいけど)。重いっ!よく落ちないですね、、。
さて、島に入ってすぐのメインロードがこちら。お土産物屋さんやレストランが並びます。あれ?俗世界が続いてますね、、(←オイ!)。
そんな観光ロードも一歩道を中に入れば静寂に包まれ、目の前には中世の街並みが広がります。
迷路散策も楽しいモン・サン・ミッシェルです。
島の頂にある修道院へと、ひたすら階段を登ります(息切れ)。
途中で見えるホテルの中庭など。
歩いてきた橋がだいぶ遠くになってきました。一年に何度かある大潮の日には、この橋も海に沈むそうです。孤島となるモン・サン・ミッシェルの景観が復活したのは、130年ほど前以来のこと。一度は眺めてみたいですね。
修道院へは「いやー、やっと着いた」と思うところが中間地点といったところ。良い運動になります(強がり)。
遠くに眺める干潟。不思議な世界です。
さて、ここからは修道院内部。夏の間だけ催されている夜間拝観(19H30~23H)に参加しました。ここは11世紀当時の面影を残す聖マルタン礼拝堂。部屋に入ると十字架に後光が輝いていますが、、
ある場所から見ると、こんな風に見える仕掛けでした。
続いて大車輪。物を運ぶために6人でこの車輪を動かしていたそうです。
死者のためのサン・テティエンヌ礼拝堂では、マリアのピエタ像に合わせて修道士たちが立ち並びます。
そしてゴシック様式の柱が美しい散策の間。異世界感あります(何それ)。
修道士たちの仕事場であった騎士の間。写経や細密画の制作がこの空間で行われていました。
青くライトアップされた「迎賓の間」は、修道院長が王や貴族を迎えるための部屋。それにちなんでか、床には王家を表す百合の紋章が配されています。
そして広々とした食堂。基本は菜食主義で、厳しい戒律の元食事中の私語は厳禁。修道士のひとりが朗読する聖書を聞きながらの食事だったそうです。うーん、、三日と耐えられない気がしてきました(俗人代表)。
そんな息が詰まるような修道生活の中で(←罰当たり)、唯一現在でも開放的な波動を感じられるのが、修道院で最も重要な場所と言われるこの中庭です。修道士たちの憩いの場であり、読書や瞑想をする場所でもありました。空に開かれた中庭に降り注ぐ光は、まさに神の国そのものです(たぶん)。
夕暮れ時に中庭の回廊から眺める干潟は、そのまま風景画のよう。
中庭では少しずらして配置された柱の重なりが、無限の空間を想起させます。
さて、永遠の中庭で瞑想したのちは、現在も修道士たちが定期的にミサを行っている付属教会で祈りましょう。モン・サン・ミッシェルでは今も、信仰が息づいています。
付属教会を出ると、見晴らしの良いテラスへ。陽が傾く時間帯に、ここから眺めるサン・マロ湾の眺めは最高です。
水平線の向こうへと伸びる、光を反射した潮流。それぞれがひとつの道のような、生き物のような、不思議な光景です。
足元の反射も、抽象画のように見えてきます。
残念ながらライトアップはされていなかったモン・サン・ミッシェルですが、ここはいつ訪ねても異空間という気がします。時空を超えるフランスを代表する聖地へ、機会があれば一度足を運んでみてください。次回は異空間ならぬ異国編、夏のスウェーデン滞在記をお伝えする予定です。どうぞお楽しみに。