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『芸術の国イタリア。バチカン美術館で、世界マリアランキングを考えてみる』ヨーロッパ写真日和VOL.306

こんにちは、吉田タイスケです。前回に続いて、写真日和イタリア編。今回は(今回も?)「エンターテイメント」をテーマに、最高峰の宗教芸術が集うバチカン美術館からお届けします。有名著名な作品は他の解説にまかせ、今回は主に「マリア美人コンクール」と題し、誰が描く聖母マリアが一番美しいのか等、絵画館を中心にご紹介します。

さて美術館入り口。前回に続き、まず入場チケットですが、予約は早ければ早いほど良いです。1ヶ月前に行きたい日程をチェックしたら、すでに通常の入場券は売り切れでした(!)。公式の「美術館ランチ付きチケット」しか残っていなくて、値段は一人41.5ユーロ(約6200円)。やむを得ません、いやむしろ「あのバチカン美術館内でランチが食べられるなんて!」と喜んで予約した、そのランチ内容はといえば、、、

はいドーン!こちらが24ユーロ(約3600円)のランチでございます。これは機内食?、、ごほん、、いや、もう何も申しますまい。天の父よ、ひとまず今日入場できたことに感謝して、この食事をいただきます。アーメン。

そして、この場を借りて同行した家人に謝らなくてはいけません。ランチは12時から1時間以内に食べ始めると決まっていて、美術館入場もそれに合わせるものと勘違いしていたんですが、あとでよくサイトを見てみたら、「美術館入場は9時以降、いつでも入れる」と書いてあるじゃありませんか。ああ、それを最初から知っていれば、もっとゆっくりシスティーナ礼拝堂を眺めることができたのに、、す、す、すいませんでした!!皆さんはくれぐれもお気をつけください。

さて、いきなり順路を間違えた我らは、まず最初に捕まったエジプト美術エリアで大幅に時間を使ってしまいました。

紀元前6-7世紀のお墓のレリーフの一部なんですが、どの動物もヘタウマな愛嬌があります。

紀元前3-4世紀の石棺。完成度の高さからリアリティがあり、こちらにぴょんぴょん飛んできそうです。

こちらも紀元前(詳細不明)。麻布に描かれた貴重なデッサン、、

きちょうな、、ふしぎな親近感、、。中学生時代に歴史教科書に描かれた落書きとかではありませんので、念のため。

こちらは「テルマエロマエ」にも登場することでおなじみの(?)、第14代ローマ皇帝ハドリアヌスがチボリに建設した別荘の一部を再現した部屋。それぞれの彫刻はエジプト美術とは時代が異なりますが、ハドリアヌス帝が憧れたギリシャとエジプト美術の融合の極地ということで、エジプト美術の流れの中に展示されています。

バチカン美術館中庭。「美術館」と言いますが実際は「美術館群」で、展示室を結ぶ通路だけで約7kmに渡り、トータル20以上の美術館が連なり、展示室は1000以上に及ぶそうで、、、とても一日では廻りきれません。

イケメン聖牛アピス。古代エジプトでは動物も崇拝する多神教が長く続き、さまざまな動物が神に通じるものとして大切にされていました。

太陽神の使いと考えられていたマントヒヒ。

カワウソ神!(推定)

猫もたくさんいます。

マリアとイエスよりもだいぶ早い、聖母子像。こちらが元ネタか。

というわけで、諸々飛ばして絵画館へ。こちらはフィリッポ・リッピ、1460年頃に描かれた聖母戴冠。以前に取材でフィレンツェのウフィッツィ美術館を撮影した際、このフィリッポ・リッピが描いた「聖母子と二天使」を見て、そのマリアの甘美な横顔が目に焼き付きました。自分の中では、下記リンクのウフィッツィ美術館にある絵が美人マリア3本の指に入ります(勝手に聖母ランキング)。

「聖母子と二天使」
https://onl.la/QRhmrT3

このリッピ氏、修道士でありながら50歳前後の時に23歳の修道女と駆け落ちをし、環俗してその後夫婦になるなど、なかなか当時としては破天荒な生涯を送っています。マリアのモデルは駆け落ちした修道女、ルクレツィアと言われていますが、この絵も果たしてそうでしょうか。

続いて、真打ち来ました。カルロ・クリヴェッリ、「聖母子、1482年」。

深緑に金の刺繍でしょうか、美しいローブをまとった聖母の表情には知的さに伴って、どこか憂いを感じます。ベネツィア生まれのこの画家、実は自分は4月にやはり別の撮影のために足を運んだオランダのアムステルダム国立博物館で、ある作品を目にするまでその存在を知りませんでした。

その作品というのがこちら。「マグダラのマリア、1475年」。聖母ランキングと言いつつ、他のマリアを出してきてすいません。しかもバチカン美術館じゃないし!もうこうなったら「世界マリアランキング」に改めましょう。ブログを横位置写真で揃える関係上、足元までお見せできなくてすいません。絵画全体は「カルロ・クリヴェッリ、マグダラのマリア」で検索してください。

この豪奢な巻き髪、輝く金箔、凡人を寄せ付けぬ高貴さ、理知的で冷たい横顔、緊張感のある指先、、ここに存在するのはこの世のものではない、息を飲む美しさです。もしミシュランガイドのように「現地まで行く価値のあるレストラン」的に紹介するなら、この絵に会いにアムステルダムまで行く価値があります。私的マリアランキング1位、、かも。

そして、このブログの始めにも載せましたが再びバチカン美術館から、ダークホース(?)の登場です。タイトルは、「ピントゥリッキオ派『聖母子(窓敷居の聖母)』」となっていて、15世紀イタリアの画家ピントゥリッキオが描いたのか、「派」とあるので、弟子を含めた一派の手によるものなのか定かではありませんが、オリエンタルな印象を受ける背景、一重瞼の聖母マリアが独特です。

こちらをまっすぐに見据えるイエスの視線と違って、伏目がちで優しく、穏やかながらどこか哀しみを湛えているのは、幼子イエスの先に待ち受ける受難を見ているからでしょうか。こちらも先のマグダラのマリアとは違った、東洋的な魅力を持つマリアとしてランキングからは外せません。

続いて王道、ルネサンスの天才画家ラファエロ・サンティの絵画から。バチカン美術館が持つ目玉作品のひとつで、ラファエロが生涯最後に描いた作品「キリストの変容(1516-1520)」です。

偉大な絵画全体の解説は他を見ていただくとして、聖母部分の拡大です。生涯に50枚の聖母を描いたラファエロは「聖母の画家」と呼ばれるほど。そのどれもが慈愛に満ちています。優しさ、純粋さ、永続的な愛をラファエロの聖母像からは感じることができて、まさに「理想の具現化」。聖母と聞いて、自分が最初に思い浮かべるのはラファエロが描いた数々の聖母です。

ただ、その中でもフィレンツェのピッティ美術館にある「小椅子の聖母」だけはこちらを特別に魅了する視線といい、モデルが誰かは諸説ありますが、ラファエロが恋人をモデルにしていることは間違いないのではないでしょうか。ランキングに入るのは、やはり「小椅子の聖母」です(またバチカン美術館じゃない)!

小椅子の聖母
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%A4%85%E5%AD%90%E3%81%AE%E8%81%96%E6%AF%8D

以上、膨大な作品が並ぶバチカン美術館の一部から、「世界のマリアランキング」というテーマでお伝えしました。お気に入りのマリアは見つかったでしょうか。宗教画というと敷居が高いように感じますが、「イエス・イケメンコンクール」(失礼)とか、自分が興味を持てる視点から入れば良いのではと思います。次回もイタリア編、サン・ピエトロ大聖堂からお伝えする予定です。どうぞお楽しみに。

『芸術の国イタリア。バチカン美術館で、世界マリアランキングを考えてみる』ヨーロッパ写真日和VOL.306Takashi -タカシ-

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