こんにちは、吉田タイスケです。
去年の秋に、セーヌ左岸で開催されたエルメスによる特別展をご紹介しましたが、今回はルイ・ヴィトン。
グラン・パレで展示が行われていたので、足を運んでみました。
エルメス展の模様:https://www.axes-net.com/abox/worldtravel/europe-vol56
1900年のパリ万博の際に、展覧会場として作られたグラン・パレ。
現代でもファッションショーから見本市、美術展まで、さまざまな催し物に利用されています。
入り口には、肖像画家として有名なヤン・ペイミンが手がけた、若き日のルイ・ヴィトン。
展示のテーマは、メゾンの設立当初から変わらない「旅」です。
現在から遡ること約180年。
荷造り用木箱の職人見習いとして、仕事を始めたルイ・ヴィトン。
木材、木工がヴィトンの原点であり、当時の道具や樹々との繋がりを感じさせる展示から始まっていました。
世界で最初に旅行鞄専門店を立ち上げたルイ・ヴィトン。
1903年頃のアトリエの様子です。
1901年、ロンドン店の広告カード。
19世紀前半は馬車での移動がメインで、雨のしずくが落ちるように旅行鞄の蓋は丸くなっていました。
交通機関の発達に伴って、蓋が平らな旅行鞄を最初に作ったのもルイ・ヴィトンということですが、それが当たり前となってしまった今では、それまで存在しなかったというのが不思議な感じがしますね。
鍵の番号を記した、当時の顧客台帳。
えーと、確か25000番台にウチの曾祖父、吉田寅次郎の名前が…←ないない。
展示会のタイトル「飛んで、流れに乗って、旅をして」という言葉通り、船の甲板を模した展示室も。
現代のデザインと、当時のものがミックスして配置されています。
こちらは1926年、インドのヴァドーダラーに居を構えるマハラジャからのオーダーで製作されたお茶セットケース。
これを従者が抱えてお庭でティータイムでしょうか。
列車を模した展示ケース。
ここにも並列して現代のクリエイションが展示され、それがルイ・ヴィトンの歴史の中で文脈に沿っていることが理解できます(決して回し者でも何でもないんですが)。
セレブリティのための部屋の展示は華やかです。
こちらはロバート・ピゲがデザインし、エリザベス・テーラーが着ていたというドレス。
その横には彼女が使っていた鞄が展示されていました。
1930年代に活躍したフランス人女優、セシル・ソレルが着用したイブニング・ドレスと、イニシャルが入ったスーツケース。
創業から現在まで、162年。
歴史の線上に今がある、というのがよくわかる展示でした。
言ってみれば、究極の「箱屋」であるルイ・ヴィトン、自分だったらどんな物をオーダーするだろうと考えていました。
やはり、カメラバッグでしょうか…(オーダーできないけど)。
船、飛行機、列車、セレブリティと来て、上の写真の展示室は「アートとの対話」。
黒地にカラフルな蝶が舞うのはイギリスの現代美術家、ダミアン・ハーストのデザイン。
蓋を開けると、色とりどりの蝶が室内を舞う仕掛け…かどうかは、開けてみるまでわかりません。
さまざまな「箱」が並ぶ、ルイ・ヴィトンの特別展からお伝えしました。
次回もパリからお届けします。
どうぞお楽しみに。