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『マディソン街のカリスマ、デニス・バッソの秋冬コレクション』ニューヨーク・ニューヨークVOL.108

(写真:DennisBassoFW21-15 by DennisBasso)

今日は、マディソンです。
今回はデニス・バッソの2021年秋冬コレクションを紹介していきたいと思います。

バッソのショップは伝統的にハイブランドが並ぶマディソン街に面していて、アッパーイーストサイド地区にありますが、彼自身のお得意顧客も、この層が断然多いと聞いています。そのせいばかりではありませんが、ファッション業界では彼“マディソン街のカリスマ”という位置づけがされているんです。


(写真:DennisBassoFW21-4 by DennisBasso)


(写真:DennisBassoFW21-24 by DennisBasso)

彼の作品はすべてニューヨークのスタジオでデザイン、制作されていて、今回のコレクションもここで撮影されています。動画でも見られるので、ご興味のある方は

» https://dennisbasso.com/pages/our-nyfw-fall-2021-collection

からご覧くださいね。

彼のコレクションは、メンズ素材にインスパイアされていて、男性的なテイラードっぽいつくりをカシミアやベルベット、ミンクやチンチラやセーブルなどの毛皮素材も駆使して、カチッとしたつくりの中にほんのりフェミニンさが匂うところが人気です。オリンピックアメリカ代表のユニフォームを作っているラルフローレンと、どこか雰囲気が少し似ているかもしれません。どちらもアッパーイーストサイドに住む、マンハッタン富裕層がこのんで身に着ける雰囲気なんですね。

教科書的オールアメリカンな感じでもありますが、足元のブーツやスニーカーが、現代的な印象を与えていると言えるでしょう。


(写真:DennisBassoFW21-5 by DeniisBasso)


(写真:DennisBassoFW21-8 by DeniisBasso)

さすがアッパーイーストサイド・ファッションの代名詞というだけあって、彼のスタイルは映画に多々起用されています。ファッション好きなら必ず見ている映画“プラダを着た悪魔”で、ヴォーグ編集長のアナ・ウィンターを模倣したと言われている女性編集長役のメリル・ストリープが着ていたのが、バッソのコレクションでした。

バッソをまとったセレブというと、ニコール・キッドマン、リアナ、ジェニファ―ロペス、ペネロペ・クルズ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズといったハリウッドの大御所ばかりか、テレビの朝の情報番組で国民的人気のケリー・リッパやロビンロバーツ、お騒がせセレブのニッキーとパリスのヒルトン姉妹、若者層を代表するファッショニスタのオリビア・パレルモなど、その迫力あるリストは延々と続きます。


(写真:DennisBassoFW21-11 by DennisBasso)

バッソはマンハッタンのお隣のニュージャージー州で生まれました。幼いころから、マンハッタンのアッパーイーストサイドで行われているパーティに参加する、ドレスアップした人々に魅せられていたそうです。現在の彼の代表作がロシアンセーブルを使ったガウンだったりするのも、その幼い頃の印象があまりに強く彼の中に残っているからかもしれません。

1983年に初めてコレクションを発表したんですが、彼以前には毛皮というとゴージャスではあるものの重くてかさばる、そんな印象がありました。バッソは毛皮をライトで、カジュアルに身に付けられるものに変えたんです。ニューヨークタイムズ紙がこれを絶賛、社交界の女性たちはこぞってバッソの毛皮ファッションを取り入れました。


(写真:DennisBassoFW21-26 by DennisBasso)


(写真:DennisBassoFW21-25 by DennisBasso)


(写真:DennisBassoFW21-27 by DennisBasso)

前大統領ドナルド・トランプ氏の最初の夫人、イボンナ・トランプもその一人でした。バッソとイボンナは今でも親しい友人つきあいをしており、バッソの結婚式で親し気に談笑する姿が社交界レビューで紹介されています。

1983年のコレクションから、初期の頃に彼のお得意客になったのが、エリザベス・テイラー、ジャジャ・ガボー、ジョアン・リバースといった銀幕のスターたちでした。以来、今でもアカデミー賞などレッドカーペットのイベントでは、彼のデザインが根強く支持されています。そればかりか、イボンナの例にもあるように、彼は単に社交界の女性たちのお気に入りのデザイナーというだけではなく、個人的に親しい友人にもなりました。そうして子供の頃憧れた、きらびやかな社交界に君臨するカリスマ、となったわけなんです。


(写真:DennisBassoFW21-13 by DennisBasso)

今年のコレクションでも、毛皮がこのように、カジュアルに使われていますね。この色違いでパッチワーク的に繋げているデザインは、この秋他のブランドも多々使用していて流行になりそうな気配です。

バッソはアッパーイーストサイド地区に住む社交界の女性たちだけでなく、全米に住むより多くの女性たちが、質が良く、品位あるファッションを楽しんでほしいと願って、QVCのテレビショッピングチャンネルにも登場しました。このチャンネルでは、より安価なフェイクファーや、バッソのコレクションがほぼカスタムに近いのに対してカスタムではない既製服、アクセサリーなどを紹介しています。

2011年にはマンハッタンにあるクラインフェルド・ブライダルから、自身のウエディング・ドレス・コレクションも発表し、着々と大小のパーティでの存在感を浸透させている感じがします。


(写真:DennisBassoFW21-20 by DennisBasso)


(写真:DennisBassoFW21-21 by DennisBasso)

ダウンやキルティングを使ったジャケット、パフジャケットも、この秋の流行です。

バッソのコレクションは正統派アメリカンをおさえながらも、流行もしっかり取り入れて時代とともに進化しています。ファストファッションとは全く対極にあるのが、彼のファッションなんですね。

彼のドレスは、例えば宝石でいうとティファニーと、アメリカ人社会における位置づけがとても似ていて、バースデーや婚約、記念日が似つかわしいブランドだと思います。


(写真:DennisBassoFW21-31 by DennisBasso)

さて、如何でしたか。
今期コレクションは郊外にあるスタジオで撮影されましたが、マディソン街のフラグシップ店の方は、その広さなんと10500フィート(975平方メートル)もある5階建てのタウンハウスで、バッソ的上流社会の女性たちの世界が広がっていて圧巻です。マンハッタンに来られたら、そんな小説“華麗なるギャツビー”的世界を味わいに、是非訪れてみてください。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

『マディソン街のカリスマ、デニス・バッソの秋冬コレクション』ニューヨーク・ニューヨークVOL.108Takashi -タカシ-

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