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『世界の新進デザイナー集まれ、アセンブリーに』ニューヨーク・ニューヨークVOL.111

(写真:Assembly_New_York_Inventory)

今日は、マディソンです。

ロウワーイーストサイドにある人気ショップ、アセンブリーに来ています。ロウワーイーストサイドというのはイーストサイドの南側、東西でみるとバワリー街からイーストリバーまで、南北にはハウストン街からキャナル街までで区切られた地域のことになります。元々は労働者や移民といった低所得層であふれていた地域なんですが、2000年頃からどんどん高級化が進んできて、今ではしゃれたブティックや人気レストランが次々立ち並ぶ場所に変貌しました。

今回ご紹介するアセンブリーも、そんな洒落たブティックの一つです。


(写真:Assembly_New_York_Inventory)

中はこんな感じ。洒落てはいますが、これぞロオワーイーストサイドという荒さも前面に出ています。

ブティック・オーナーで、アセンブリー・ブランドのデザイナーでもあるアルマスの、美意識が強く感じられますね。品ぞろえも、それからその配置の一つ一つにも。

彼が2012年にアセンブリー・フラグ店をオープンしたとき、まずはメンズラインからスタートしました。というのも、彼曰く“自分が男性だから自分が着たいと思うものを創ることはできるけれど、女性が何を着たいのかを想像するということのハードルはとても高かったから”だそうです。最初メンズでスタートしたブティックですが、アルマス的世界に魅せられた女性たちが次々訪れて、本来はメンズラインなのに服を買っていくようになりました。そこで店舗拡張の時に、それこそ“えいやっ!”と、高いハードルを越えて、女性用のラインも付け加えたそうなんです。


(写真:unnamed)


(写真:unnamed-1)

現在アセンブリー・フラグでは、アルマスがデザインしたメンズやウィメンズの他に、世界中からの新進デザイナーの服やアクセサリー、靴なども販売しています。

彼、“アセンブリーラインを製作していないときには、世界中の、才能あふれた新進デザイナーの服を買っているんだよ”とインタビューに答えていました。いくら才能があっても、自身のフラグをマンハッタンに開くとなると、今度はビジネスの才能も要ります。アルマスは、そんな才能あふれる世界中のタレントたちのプラットフォームでありたいと、アセンブリーに女性用ラインを加えて店舗拡張するときに決意したそうです。

アルマス自身はまずLAで最初のブティックを開いたことで店舗運営経験がありましたし、大学ではアートを専攻、ブティックを開く前に画廊をまずオープンしたそうです。確かに画廊というのは才能あふれる若手の作品を置いて販売しますから、現在のアセンブリーでの運営に繋がっている感じがしますね。


(写真:assembly-NYFW-fall-19-credit-Greg-Armas)


(写真:feit_assembly_final-thumb-620×465-80319)

彼自身のデザインの好みは、シンプルでゆったりと快適でありながら、クール。クールというのは絶対に譲れない線のようです。

一つ一つのシューズが完璧な間隔で配置されている一方、背景にはゴツゴツした荒さをわざと残す。そんなコントラストから来る美しさに彼は強くひかれているようで、ブティック内にはロオワーイーストサイドのエッセンスが凝縮されている感じがします。


(写真:Assembly-NYC-900×900)


(写真:Shopify_Assembly_HEADE)

締め付けない、たっぷりとした服でありながら、ピンと張りつめた美意識をその背景に感じます。レディ・ガガやグレース・ジョーンズの曲を、コレクション披露の音楽に使う彼の服にある強いメッセージ性。そういうところに、ロオワーイーストサイドの住人達はしびれるんですね。

ヴィンテージをそのまま着るのではなく、そこに現代風のひねりを一つ加えるのが彼のスタイル。例えば絞り染めシャツはアメリカに入ってきたのが20世紀らしいんですが、60年代にアーティストやミュージシャンから火がついて大ヒットしました。写真の女性モデルが来ているのもそんな絞り染めシャツなんですが、その現代的な色合いで、弾ける感じが表現されています。

彼のショップに足を踏み入れると、そこには不思議なエナジーが漂っていて、クールキッズの集う場所でありたい、クールキッズに、クールキッズが提案した服を着てほしい、そんな彼からの隠れたメッセージがびんびん伝わってきくるんですね。


(写真:armas_portrait2)


(写真:ny_in_comp_2048x2048)

アルマスはオレゴン州南部の田舎で育ったそうです。草と木、なだらかな丘がどこまでも続く風景だったとインタビューに答えています。ミニマリストだという彼のルーツがそこにあるのかもしれませんね。

ニューヨークは刺激的な街で、彼のお気に入りの画廊、レストラン、美術館、ブティックなどなど、そのこだわりを最大限に研ぎ澄ませる場所、つまり美意識を訓練できる場所に溢れているそうです。ただ、そんな彼が故郷と同じくらいくつろげる場所というと、それが何とメキシコにあるバハの街。

そこでは、故郷のオレゴンと同じくらい自分自身に戻れると語っていました。アルマスはミニマリストなので、旅に出るときも、ほとんどが着の身着のまま。ファンテイック最先端のマンハッタンに今は住んでいるというのに、旅の必需品はなんと現金だというので驚きました。


(写真:assembly-new-york9)

例えばマンハッタンの場合、ソーホーは元々アーティストが集う地域でした。マンハッタンの地価が高騰すると、アーティスト達はブルックリンへと移りだします。その一方で、ノリータやロオワーイーストサイドなどソーホー周辺にありながら、元々はあまりアーティステイックとは呼べなかった地域に、LAなどのアメリカ国内から、ヨーロッパから、プライベートブランドが次々やってくるようになりました。

とはいえ元々の荒さをこの地域、今でも少し残しています。きれいにプラスチック的にパッケージされない猛々しさをこそ好む人たちが、根強くその荒さを支持しているからなんですね。


(写真:170-ludlow-st-new-york-ny-primary-photo)

さて、如何でしたか。

表面が猛々しいゴツゴツした建物の中に入ると、そこには洗練されたアートギャラリーのようなミニマルで高級な家具が置かれた空間があります。表からは想像もできない、秘密基地のような空間。そんな研ぎ澄まされた美空間を体験してみたいと思いませんか。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

『世界の新進デザイナー集まれ、アセンブリーに』ニューヨーク・ニューヨークVOL.111Takashi -タカシ-

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