マディソンです。
ニューヨークの11月ですが、今日はお天気が良く陽がさしているせいか、それほど寒くありません。カナダからの寒気団に覆われてしまうと、まるで顔が凍えそうなほど冬は寒くなるんですが、直前にカリブ海にハリケーンが近づいたようで、その影響で少し寒気団が上に押されているようです。
温かいので、話題のショップまで近辺を散策したくなりました。
トライベッカからウエストビレッジに向かうあたりにある、高級韓国料理のレストラン・ユンスィク。マンハッタンには32丁目界隈に韓国通りがあり、焼き肉など定番はその辺りが人気なんですが、このユンスィクは定番ではない、ニューウェーブな韓国料理の店としてニューヨーカーに大人気です。代表的なコース・メニューは一人295ドル(41,595円、1ドル141円)と価格も高級ですが、今年街の話題になったのが、このユンスィクのデザートシェフ、ユンジェ・リーが自身のお店をフラットアイアン地区にオープンさせたこと。
リーゼーというデザート・ショップです。
上がコーンのような見かけのデザート。焼いたコーンをクリームに混ぜて、それとコーンのムースを合わせて作られているそうです。で、価格は18ドル(2,538円)。下の写真がチョコレート・ケーキで、ダークチョコレートのスポンジに、チョコレート・カラメルとブラック・ペパー・カラメルで出来ています。その名もVIC。VIPといえばヴェリー・インポータント・パーソン、つまり重要人物という意味になりますが、ヴェリー・インポータント・チョコレートケーキだそうで、花びらのように一つ一つチョコレートの花弁が重なっているデザイン。こちらは15ドル(2,115円)でした。
決して安くはありませんが、一つ一つ手作りで作るその時間と手間を考えると、そういうものかもしれません…。
ショップは一階がカフェになっており、ケーキのテイクアウトは2階に向かいます。階段をあがると、写真のように実際のケーキがまるでアートのように飾られているんです。というのもショップ名のリーゼ―は、彼女自身の名前のリーとフランス語で美術館を指すミューゼーを合わせたもので、ケーキ・ショップではなくペィストリー美術館のようなスペースにしたいという希望があったからだそうなんです。
ジュンスィクに行ったことはないんですが、恐らくそちらの料理もおいしいだけではなくアートのような見た目だったんでしょう。このリーゼーのオープニングはなんと、老舗ファッション業界紙WWDで紹介されていました。ファッション業界が注目する料理でありデザートだということなんですね。
ユンジェ・リーはジュンスィクのデザートシェフを務める以前の数年間、パリでペイストリーシェフだったそうです。パリのレストラン、ル・メィルシェで知り合った夫のマシュー・ロブリーと二人で立ち上げたのがこのリーゼーらしいです。
フラットアイアンの辺りは、彼女自身が良く食べに行くレストランの多い地域だったので、食後に飛び切り美味しいデザートがあればという思いでこの場所を選んだとインタビューに答えていました。
夫婦のデザートシェフをバックアップしたのが、韓国レストランのアトミックスやユアを手掛けたハンド・ホスピタリティ社。
カフェで出しているコーヒーは、コーヒー・プロジェクト社とのコラボで、アーモンドミルクならぬ、玄米ミルクや東南アジアで多く見られる柑橘類の一種シキキツとハーブのジュースなど、飲み物にも並々ならぬこだわりを感じさせます。
パリでデザートシェフの修行を積んだ彼女ですが、アイデンティティとしては韓国に産まれたニューヨーカーで、祖国の文化を誇りに思う気持ちが、古い木の枠や玄関のベルなどの店内の内装からもわかるんですね。アートギャラリーほど洗練されたケーキたちが並んでいるんですが、私たちアジア人にとって、あたたかい温もりも感じさせる、そんなショップでした。
歩いているとこの辺り、犬の散歩をしている人がたくさんいます。住宅地だからでしょうか。ミッドタウンよりたくさん、犬たちが嬉しそうに日差しの中散歩していました。
なるほど、近くにドッグランがあったんですね。
マンハッタンはミッドタウンからアップタウンにかけてはセントラルパークがありますが、ダウンタウンの方に降りると、セントラル―パークほど大ぶりではないものの、公園がたくさんあります。海外から写真や動画で見るマンハッタンのイメージはまるでコンクリートジャングルのようですが、住んでみると意外に緑が多いんですよ。
ここはワシントンスクエア・パークといって、広さが9.75エーカー(約4万平方メートル)あり、この写真のワシントンスクエア・アーチや、遠くに見える噴水の向こうにはワシントンDCにあるモニュメントの縮小版が建っているので、地元の人にはもちろん、観光客にも人気です。観光客の人たちはミッドタウンから5番街をずっと歩いていくと、その最後にたどり着くのがここなので訪れやすいんですね。
1889年に初代大統領ジョージ・ワシントンの功績を称えて、木製のアーチが建てられたんですが、そのあまりの人気ぶりに1892年には現在のアーチが建立されたそうです。この辺りにはニューヨーク大学のキャンパスもあって、学生街でもあります。
ワシントン・スクエア・パークもワシントンDCゆかりの場所でしたが、ミッドタウンに戻ると、このコロンバス・サークルもワシントンDCの場所にちなんでいる場所なんです。マンハッタンに入る急行列車の駅であるユニオン駅の前の交通サークルが元々コロンバス・サークルと言われているんですね。
パリに行かれたことのある方はすぐ思いつかれると思いますが、交通サークルはパリからアメリカに輸入されたものです。自由の女神は、アメリカの建国期にフランスから寄贈されたものですし、当時のアメリカはフランス文化にかなり影響を受けていたんではないでしょうか。
パリが何故交通サークルが多いのかというと、外敵が攻めてきたときに、簡単に攻められないようにということだそうです。それででしょうが、運転する側としては交通サークル、本当に不便です。ワシントンDCの場合、まっすぐ行くと地下に入ってたどり着けなかったり、交通サークルで別の通りに出てしまったり、今ではナビがあるので少しましになりましたが、アメリカの首都ですから運転しにくいよう、つまり攻めにくいようわざと仕向けていたということらしいんですね。
ダウンタウンの優雅なデザート画廊から一転して、コロンバス・サークルにはベンチというイタリアンアイスのジェラートとチョコレートのショップがありました。チョコレートはまだしも、11月にジェラートは少し寒い感じがしますが…。
先ほどのジェラートといい、ミッドタウンだけまだ夏なんでしょうか?
いえいえ、これはパーティ用のドレスだからノースリーブなんですね。今年は銀色が流行色で、プラダのショーウィンドーも銀色のドレスにシューズ、バッグで飾られています。
ロックフェラーセンター近くのマイクル・コースも銀色のドレスにシューズ、スニーカーも銀色でした。
さて、如何でしたか。
マンハッタンの11月、感謝祭前だということと、例年より暖かい気候ということで、まだホリデーシーズン色に覆われてはいないようです。今回は街で話題のデザート・ショップに、とうとう行けて楽しかったです。ヴェリー・インポータント・チョコレートケーキは最高でした。
ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。