ライフスタイルにプラスになる、ファッショナブルな情報を発信。-abox-

850

『最新ターミナル、グランドセントラル・マディソン』ニューヨーク・ニューヨークVOL.154

マディソンです。

今年1月25日にオープンした、ニューヨーク最新のターミナル駅グランドセントラル・マディソンを見てきました。

2001年に着工してから、約110億ドル(1兆4,300億円!)をかけたというのは、鉄道地下トンネル建設では世界一規模らしいです。

駅がマディソン街地下に位置していて、グランドセントラル駅に隣接しているので、グランドセントラル・マディソンと名付けられたと聞きました。



私はバンダービルトという建物から入ったんですが、地下50メートルにたどり着くには、とても長いエスカレーターで降りていきます。あまりに長いので、吸い込まれそうで、ちょっと怖かったですよ。

1950年代以降にアメリカで作られた鉄道ターミナル駅としては最大規模で、2層構造の4面8線が通る駅になっているそうです。

これまでロングアイランド地区に住んでマンハッタンに通勤する場合、乗り入れ駅がマンハッタン西側にあるペンステーションでした。1990年代の研究で、LIRR(ロングアイランド鉄道)利用者50%のマンハッタンの職場が、ペンステーションよりグランドセントラル駅に近いことがわかったそうです。しかもペン駅はいつもひどく混雑しているので、グランドセントラル駅近くにLIRRの乗り入れ駅を作っては?という構想はかなり前からあったようなんですね。



できたてピカピカの駅構内には壁画にアートも飾られていて、こちらはアメリカ人アーティストのキキ・スミスさんの作品。リバー・ライトというタイトルなので、さしずめ川面の光、ということでしょうか。ニューヨーク在住の彼女、生まれは西ドイツだそうです。

川面の光は自然をモチーフにしていますが、実は彼女の作品としては性と誕生、再生をテーマとしたものが一番知られています。特に1980年代後半から1990年代初めには彼女、エイズやジェンダーに立ち向かう作風のものを多く発表していて、近年になって自然を多く表現するに至ったそうです。

キキのお父さんもアーティストで、幾何学的な彫刻という作風で知られていました。幼いころから、そんなお父さんの作品に触れていた彼女は、彫刻作品を生み出しましたし、版画作品も多く発表しています。彼女の版画作品は、そのブループリントがモマやホイットニー美術館で見られますが、今後はこの駅を通る時にも壁一面で見ることができるんですね。

こちらもキキの作品で、春というタイトルがついています。この鳥は七面鳥らしいんですが、感謝祭のメインディッシュになる方ではなく、野生の七面鳥の方でしょうか。七面鳥って春らしかったのかな?と思いながら眺めています。というのもアメリカに住む私たちの認識としては、七面鳥から連想してしまうのはやはり感謝祭のある11月末、という感じなんですが…。



今度は壁一面ダイナミックに、われらが草間弥生さんの作品が飾られています。何と81平方メートルもの大きさというのだからすごいですね。A Message of Love, Directly from My Heart unto the Universeと記されていますが、私の心から宇宙へ愛のメッセージ、というところでしょうか。この巨大壁画、彼女の“永遠の魂”シリーズがもとになっているそうです。

草間さんは現在93歳でいらっしゃるらしいんですが、今年はルイ・ヴィトンが彼女のロボットをディスプレイしたり、5番街の建物自体が彼女の作風のドットになっていて、街で大人気です。ニューヨークでの知名度が最も高いアーティストの一人ですが、それにしても今年は地上も地下も草間さんのアートの勢いが爆発している感じですね。

そして、また草間さん作品展示ニュースが入ってきました。5月12日から、西19丁目と20丁目にまたがるデビット・ズワーナー画廊で、彼女の新作の絵、代表的なカボチャや花をモチーフにした新作彫刻、それに新しいインフィニティ・ルームなどが展示されるそうです。ズワーナー画廊で初めて彼女の作品が展示されてから今年は10周年にあたるため、彼女にとって最大規模の展示になるそうで、ニューヨークの草間ファンにとっては今からとっても楽しみですね。

この地図からもわかりますが、マディソン街の入り口は、43丁目から48丁目の5ブロックにわたっています。今年オープンしたばかりなので、まだ歩道が出来ていないのか、キレイで静かです。白っぽい色合いでピカピカ、空港みたいな感じというと、想像頂けるでしょうか。

日本からニューヨークに来られる際には一番ロングアイランドのJFK空港に入ってくるケースが多いと思いますが、そのJFKにもアクセスできるんですよ。





これはどうしたことでしょう?いつもはハイブランドを身にまとったマネキンが美しくディスプレイされている、ニューヨーク高級デパートのバーグドーフ・グッドマンですが、どうもいつもと少し趣が違います。

実は2023年秋冬物コレクションを紹介するニューヨーク・ファッション・ウィークの開幕に合わせて、バーグドーフが“オンリー・イン・ニューヨーク”と銘打ってキャンペーンをしているんですね。アーティストのジョアナ・アヴィレズが、想像上のディナーパーティを、ニューヨークを代表するファッション業界の著名人たちに着せて、バーグドーフのショーウィンドーに描いているんです。

例えばバーグドーフのファッション・ディレクターで、街のファッション女王というニックネームのリンダ・ファーゴは、2020年にスタートしたオンリー・チャイルドというブランドを着ています。オンリー・チャイルドって訳すと一人っ子っていうことなんですが、面白いブランド名ですね。デザイナーのマクスウェル・オズボーンによると、“オンリー・チャイルドは、例えばおもちゃの車は2台あっても、想像上の友達と一緒に遊ぶんだ。兄弟がいないからね。そんな感じをファッションで表現してみたのさ”ということだそうです。

さて、如何でしたか。

新しくできた駅はまだ人の流れができていませんでしたが、それも近いうちに混み合ってくることでしょう。コロナもようやく終わって人々の生活が元通りになり、街の交通渋滞が完全に戻ってきてしまいました。

ではまた、ニューヨークでお会いしましょうね。

『最新ターミナル、グランドセントラル・マディソン』ニューヨーク・ニューヨークVOL.154Takashi -タカシ-

関連記事