今日は、マディソンです。今回は2012年に起業して、2016年に販売開始したばかりのサンフランシスコ・ブランド“ロシーズ”の、ニューヨーク・ショップを紹介したいと思います。主な素材が100%リサイクルできるペットボトルということでサスティナブルなブランドですし、取締役6人がすべて女性というウーマンパワーにもあふれているブランドなんです。
ロシーズの靴はその履きやすさから口コミ人気で急上昇してきましたが、一番注目を浴びたのは、去年妊娠中のヘンリー王子妃メーガン・マークルが履いているところを目撃された時で、この折は一時に大量注文が殺到してウェブサイトがダウンしてしまったと聞きました。メーガン妃が履いていたのは、メリノ・フラットというラインで、175㌦(1,8725円、1㌦107円)のフラットシューズで、フラットとして安くはないんですが、2万円弱でプリンセス気分に浸れると、大人気になったんですね。
(写真:ロシーズ)
マンハッタンのウエストビレッジにオープンしたばかりの店内はこんな感じ。このショップは靴ではなくバッグに焦点を合わせているそうです。
靴同様、ロシーズのバッグも海に流入する前に回収してリサイクルされた海洋プラスチックを素材にしていて、100%リサイクル可能をうたっています。ペットボトルは世界中で毎分100万個販売されていて、廃棄された分は毎年500万~1,300万トンものゴミとなって海に流入してしまっていると聞きました。魚や海鳥の生態系に悪影響を及ぼしているだけでなく、細かくなったマイクロプラスチックが私たち人間にもどんな影響を及ぼしているか、元々自然界にはない物質だけに、想像するとSF映画の世界みたいで怖くなりますね。
2012年に、この廃棄プラスチックを何とか再生できないものかとスティーブン・ハースウォンスウエイトとロス・マーティンがロシーズを起業、4年間の月日をかけ、再生樹脂素材からできた柔らかい繊維を立体的に編み込むことで、縫い目のない3Dニット・シューズを作ることに成功したというわけです。
(写真:ロシーズ)
このディスプレイにあるように、ブリッカーストリート店内に置かれている製品は4分の3がバッグ、4分の1が新シューズという割合でしょうか。
バッグもその工程はシューズ同様、徹底的に無駄を省いています。リサイクル素材を使ったブランドは他にもあるんですが、それらが布として編んだ素材を裁断して縫い合わせているのに対して、ロシーズでは製作が3Dシームレスなので、裁断することで素材を無駄にすることが全くありません。
ウエストビレッジといえば、人気女優サラ・ジェシカのテレビドラマを思い浮かべますが、彼女もロシーズ愛用者だそうです。ロシーズはただ今人気急上昇中なので、ケイティ・ホームズ他セレブも履いているところを次々目撃されてきています。
(写真:ロシーズ)
このショップにはバッグだけでなく、靴も新製品なら置いてあります、もちろん。
ロシーズ素材は海洋プラスチックの廃棄ペットボトルですが、いったん靴になった後は、今度はカーペット・タイルに再生されるそうです。そうしたサスティナブルな取り組みが賛同を得ているのはもちろんですが、その人気の一番の秘訣はなんといっても履きやすさ。コンセプトは一日中履いていても疲れないスタイリッシュな靴、なんだそうです。
メーガン妃が履いていたメリノ・ラインは去年の秋発売されたばかりで、メリノウールと再生樹脂を編み込んで作られているので、夏は涼しく、冬は暖かいらしいです。素材はしかも伸縮自在にもかかわらず、レザーのように型崩れしません。洗濯機で洗える手軽さも、人気の秘密だと聞いています。まさに、今時のポイントを全て押さえたブランドといえるでしょう。
(写真:ロシーズ)
今時ポイントを全て押さえているので、お約束のトートバッグも用意しています。イラストはもちろんですが、持ち手のところがおしゃれだと思いませんか。
(写真:ロシーズ)
ロシーズが一番比較されるブランドが、表参道に上陸したばかりのオールバーズです。“世界一快適な靴”とニューヨーク・タイムズが絶賛したオールバーズも、ウールなどの自然素材から作られた靴で、100%自然に分解されてゴミとならない素材でできています。両方ともサンフランシスコ・ブランドですが、オールバーズの方がロシーズの2年前に販売開始した分だけ先駆け感がありました。
値段で見ると、オールバーズのフラッツは95㌦と少し安いんですが、8色のバリエーションはあるものの、スタイルはワンパターンだけです。比べるとロシーズのフラッツは145㌦ですが、靴先の丸い形、尖った形、色も図柄もさまざまなものがあり、2年間の後発で、よりスタリッシュに、デザイン面にも注意したローンチだったと言えると思います。
ロシーズを出て東、ソーホーを通り過ぎます。
ホテルの裏口で、ライトは見えますがただ今閉まっています。頑丈な柵があるので普通に閉まっているようですが、ソーホーの通りのショップには表に板を打ち付けているところが少なくありません。残念ながら、こんな状況下でも表のガラスを壊して盗難が起こってしまうからでしょうか。
日本の震災のニュースで海外の人たちが一番驚いたのが、みんながきちんと列に並んで物資を受け取る姿でした。壊れたお店からの盗難もなく、命が危険にさらされている極限状態でも取り乱していない私たち日本人の倫理観の強さに深く感心したんだそうです。
上がコロナ前のタイムズスクエアの様子です。真夜中でも真昼のように明るかった、あの通りは、今はまるでゴーストタウンのようです。清掃作業者がいなければ、それこそSF映画の中に間違って入り込んでしまったかのようで、歩くのも怖いところです…。
夜になって住居用の建物にはライトがつくのが、何とも心強く嬉しいですね。ソーシャルディスタンスで疎外感が募る毎日なので。ニューヨークでは今、夕方7時になるとみな窓を開けて、コロナに立ち向かう医療従事者に拍手を送っています。職場はリモートといって、自宅からオンライン接続で仕事をする人たちがほとんどですが、医療従事者や清掃など一部の人たちは、エッセンシャルワーカーと呼ばれて出勤しなくてはならないからです。
実はこのエッセンシャルワーカーという言葉、コロナで一般に広まりました。エッセンシャルというのは“絶対に必要”という意味なんですが、コロナでのリモート体験の後日常が戻ってきた時、“何が本当に必要で何がどうでもよいことだったか”私たちは実感しているような気がします。きっと価値観もライフスタイルも変わっているような…。
さて、如何でしたか。ではまた、ニューヨークでお会いしましょう。マンハッタンの外出禁止が一日も早く解かれるようになることを祈って。