のどかな風景を眺めながら、マテーラへと向かいます。予備知識は持たずに南イタリアへ来いと誘ってくれた知人は「マテーラは観光地で、一度行けばまあ十分」と言っていたし、ガイドブックにもマテーラのページは少なく「洞窟住居」で有名としか書かれていません。あまり期待せずに車を走らせた先に出会った風景は、、、
え…いや…ともかく、驚きました。「すごい!」とか、そういう言葉では伝えづらい風景がそこに広がっていたんです。写真で少しでも伝わると良いのですが。南フランスにも「鷲ノ巣村」とか、「天空の町」とか、ここと対抗できるような二つ名を持つ村がいくつかありますが、そのどれとも違う、圧倒的なスケールと複雑さがマテーラにはあります。岩山なのか家なのか…何層にも積み重なったこの旧市街には車は入れません。
夕陽に照らされて、次第にはちみつ色になっていく石の町で、パリとはあまりに違う時間が流れる町で、自分がいつの時代の、どこにいるのかわからなくなります。
この日は地元の音楽学校設立50周年の一環で行われた、野外オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を鑑賞してきました。アリアが歌われる中で、遠くから教会の鐘の音が重なります。南イタリアを廻る日本のツアーでは、アルベルベッロが圧倒的に人気のようですが、僕はマテーラを強くおすすめします。一度見たら忘れられない、石の迷宮をお届けしました。次回もどうぞお楽しみに!